稀勢の里に “見えない力” が働いていたとすれば、それはマゲを掴む反則を見逃す審判部の「忖度」だろう

 横綱・稀勢の里による劇的な逆転優勝で幕を閉じた平成29年春場所ですが、“見えない力” が働いていたと言えるでしょう。

画像:本割で照ノ富士を下した稀勢の里

 なぜなら、稀勢の里が本割で照ノ富士の髷を掴んでいたと思われる場面が完全に見逃されていたからです。これは審判部の大失態です。

 

 髷(まげ)を掴む行為は反則負けになります。千秋楽の本割でそれを疑わせる動きがあったにも関わらず、見逃されていることは大きな問題と言えるでしょう。

画像:本割で照ノ富士を下した稀勢の里

 

 本割では “右で「前みつ」を掴んでいた照ノ富士” が『突落し』で敗れました。その際、稀勢の里の左手が髷を掴んでいると見えるからです。

 ところが、このシーンでは「物言い」すら付いていません。勝負審判を担当していた下記5名は取組内容を見ていたのでしょうか。

  • 友綱(元・魁輝、伊勢ヶ濱一門)
  • 大鳴門(元・出島、出羽海一門)
  • 東関(元・潮丸、高砂一門
  • 時津風(元・時津海、時津風一門)
  • 放駒(元・玉乃島、二所ノ関一門)

 

 行司の式守伊之助は「反則勝ち」の軍配を上げることはできません。また、友綱審判長の位置(北)からは稀勢の里の反則を目にすることは不可能です。

 しかし、『西』と『時計係でない南の勝負審判』が “見えていない” ことはないはずです。「見ていない」と開き直り、日本人横綱のために忖度を図ったと批判されても止むを得ないと言えるでしょう。

 VTR でリプレーが行われていれば、稀勢の里は「反則負け」となっていたことでしょう。そのため、幕内最高優勝は14勝1敗の照ノ富士が手にしていたはずです。

 

 当然、5月場所は「大関・照ノ富士が綱取りに挑む場所」となるべきですが、横綱審議委員会は照ノ富士の取組内容などに文句を言う有様です。

 はっきり言って、“綱の品格” とやらを汚しているのは横審です。日本人横綱を誕生させたいために「2場所連続優勝(もしくはそれに準じる成績)」という内規を悪用し、反則を見逃し、「新横綱の場所での優勝」などと実力以外の部分で援護射撃しているからです。

 今は問題がなくても、このツケは必ず日本人力士の誰かが支払うことになります。もちろん、時の審判部や横審が規則を堂々と変更すれば、ツケの請求を先延ばしすることは可能です。

 しかし、それは「土俵の充実」という大相撲の根幹を歪めることであり、現状では “禁じ手” であることを忘れ、使いすぎになっているのです。

 

 ガチンコの真剣勝負が土俵上で行われているなら、審判部が “見えない力” を働かせることなど論外です。「八百長時代から体質は変わっていない」と批判される前に、日本人力士に忖度する姿勢を改めることが日本相撲協会や NHK には求められていると言えるのではないでしょうか。