飲料水基準の『汚染水』で大騒ぎするなら、仙台市が未処理の汚水を川に流していたことを厳しく糾弾すべきだろう

 福島第一原発での『汚染水問題』で大騒ぎしているマスコミにとって都合の悪い実態が明るみに出ました。

 朝日新聞によりますと、仙台市が “緊急避難” として雨天時にマンホールから汚水があふれないよう未処理の汚水を川などに30年近く放流していたことが明らかになったとのことです。これを容認する主張を展開することは論外だと言えることでしょう。

 

 仙台市が、大雨のときにマンホールなどから汚水があふれないよう、未処理のままの汚水を「秘密の管」から川などに流していたーー。「緊急避難」として、30年近く前からこっそり行われてきた実態が、3月の市議会で明るみに出た。市は国土交通省にも初めて報告。「好ましくない」と改善を求められている。

 仙台市の下水道は、雨水と汚水が別々に流れる「分流式」が面積の8割を占め、汚水は処理場で浄化しないと川や海に出て行かないのが原則だ。だが実際には、地中管のひびなどから雨水が汚水管に入り込み、雨天時には管の容量をオーバーしてしまう。このためマンホール内の水位が上がった際、汚水を雨水管にバイパスする「緊急避難管」が、市内111カ所でつくられていた。

 

 

 当たり前のことですが、汚水をそのまま飲料用途で使うことはできません。処理場で浄化すれば、河川などに放流することは可能であり、それが結果的に下流域で上水道用に利用されることは考えられます。

 仙台市の件で問題なのは「飲料用の基準を満たしている福島第一原発の『汚染水』よりも、環境に悪影響をもたらす汚水を未処理のまま30年近く放流し続けていたということ」でしょう。

 福島の『汚染水』は “不浄なもの” としてレッテル貼りをしてきたところ、実は下水道を流れる汚水を雨で薄めて河川などに放流していた実態が明るみに出たのです。

 下水を薄めて河川に放流することが「好ましくない」で済まされるのであれば、「飲料用の基準を満たす『汚染水』を薄めて海に放流することに何の問題があるのか」と主張された時点で反論の根拠が何1つなくなってしまうことを意味しているのです。

 

 福島第一原発の港湾外の海水は、「詳細分析」でも放射性物質は検出されないか、検出されても世界保健機関(WHO)の飲料水に関するガイドラインの基準値よりも格段に小さな値となっています。

 『汚染水』が「WHO が定めた飲料水に関するガイドラインの基準値よりも格段に小さな値である」ことは経産省のQ&Aに記載されています。それを巨大タンクで貯めておくなど、予算の無駄遣いと言っても良いことだと言えるでしょう。

 なぜなら、飲料に適さない下水が雨水で薄められ、未処理のまま放流されていた実態が黙認され続けてきたからです。巨大タンクを建設する必要があるのは福島第一原発ではなく、仙台市であることは明らかです。

 “止むに止まれぬ事情” が30年近くに及んでいること自体が異様なことだと自覚しなければなりません。

 

 「福島の魚は食えない」と主張する一部の反原発派は「雨水で薄められた下水が流れ込んだ宮城・仙台の魚はどうなのか」という疑問に対し、見解を表明する必要があると言えるでしょう。

 もちろん、飲料に適しないであろう汚水が流れ込む宮城県産の海産物に対し、福島県産と同等か、それ以上の厳しい環境基準の適用を声高に求めてくれるはずです。それができないのであれば、福島県へのヘイトスピーチを止めることが最低限の責務なのではないでしょうか。