共同通信、“羽織ゴロ” の精神が若手社員に引き継がれていることを証明する

 千葉県で発生した女児殺害事件を取材していた共同通信の男性記者が取材を断られた腹いせに住民宅の壁を蹴っていたことが明るみになったと共同通信が伝えています。

 共同通信は国民の “知る権利” に応じ、犯人の実名・年齢・住所・顔写真・卒業アルバムを公開する必要があります。なぜなら、自分たちが普段行っていることであり、同じ基準を自分たちマスコミにも適応する責務があるからです。

 

 千葉県の小3女児殺人・死体遺棄事件で、松戸市の女児宅周辺の住民を取材していた共同通信の20代男性記者が15日、取材を断った住民宅の壁を蹴っていたことが17日分かった。この様子を記録した防犯カメラ映像がツイッターに投稿されたため、社内で調査したところ記者が名乗り出た。

 記者と上司は17日、この住民に謝罪した。共同通信社総務局は「許されない行為であり、ご迷惑をお掛けした方に深くおわびします。本人を厳しく指導するとともに、記者教育を徹底します」とのコメントを出した。

 

 “地取り” と呼ばれる取材を行う過程で発覚した問題行為でしょう。事件・事故が起きた際に現場周辺の家庭に対し、片っ端から取材依頼を行うのですが、ほとんどは拒絶されるはずです。

 マスコミが期待するコメントを述べてくれるような住民は例外的であると見ておく必要があるでしょう。

 

 住民宅に蹴りを入れるという問題行為を起こした記者を被害者と直接対面させた共同通信の姿勢も問題です。

 査定で大きなマイナス点が付くことが確定的である男性記者が逆恨みをするリスクを考慮しなかったのでしょうか。記者による “お礼参り” の可能性を排除している点で、論外だと言えるでしょう。

 また、同僚の原田浩司氏がツイッターで火に油を注いでいます。

画像:原田浩司氏によるツイート

 「将来のある若者だから大目に見てあげて欲しい」と度量の大きさを示すことができる権利があるのは被害者だけです。第三者がそのように述べる資格はありませんし、ましてや同僚記者が起こした事件を矮小化しようとする姿勢は厳しい批判にさらされるべき行為です。

 

 ネットが一般的になったことで、悪質なマスコミの取材方法が浮き彫りとなり、結果的に謝罪へとつながりました。今後も同様の行為がネットを通じて明るみに出ることでしょう。

 なぜなら、組織に深く根付いた体質を改めることは並大抵のことではないからです。

 同業他社も共同通信の記者が起こした行為を “他山の石” とする必要があります。「(ミサイルを撃っても、)一発だけなら誤射かもしれない」というメンタリティーが根付いているのですから、「壁を1回蹴ったぐらいで文句を言うな」ということが本音なのかもしれません。

 その価値観自体が大きな謝りであることを自覚し、今回の記者に厳しい処分を科すことができなければ、同じような問題が起きることの温床を解決するには結びつかないことでしょう。

 

 まずは世間一般で起きたスキャンダルと同じ扱いで共同通信の男性記者が起こした問題を報じることがマスコミには求められています。実名および顔写真付きで報じ、共同通信の姿勢を厳しく批判することが報道への信頼を取り戻す役割を果たすことになるのです。

 “羽織ゴロ” の精神を引き継ぐようでは、衰退に歯止めをかけることは不可能だと言えるでしょう。これまでは質の低すぎる記者らの素行が発覚していなかっただけなのです。業界再編に本腰を入れるべきは高い参入障壁にあぐらをかき続けたメディア産業なのではないでしょうか。