メタンハイドレートからのガス産出試験が再開されたと資源エネルギー庁から発表
2017年5月から愛知県と三重県の沖合でメタンハイドレートからガス生産を行う試験が行われていましたが、パイプ内に砂が入り込むトラブルのため、試験は中断されていました。
資源エネルギー庁によりますと、別の出砂対策を施した2本目の生産坑井への切り替え作業が行い、6月5日にガス生産を確認したとのことです。
資源エネルギー庁が、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)に委託して行っている第2回メタンハイドレート海洋産出試験については、一時中断しておりましたが、今般これを再開し、6月5日にガスの生産を確認いたしました。
過去に取り上げた話題ですが、生産坑井は2本用意されています。「1本目でトラブルが発生したため、別の対策が施されている生産坑井(2本目)でガスの連続生産に取り組んでいる」とのことなのです。
「生産坑井は1つだけで、“防砂対策A” が満足に機能しなかったことを受け、“防砂対策B” に切り替えてガスの連続生産に取り組んだということではない」のです。マスコミはこのことを正確に伝える必要があると言えるでしょう。
2本目の生産坑井に切り替えての作業は「5月下旬から6月上旬にかけて実施予定」と宣言しており、5月31日に減圧作業を開始し、6月5日にガス生産を確認したと発表されています。
この点はスケジュール通りに進んでいると見ることができますので、大筋部分で評価されるべきものでしょう。詳細な点では改善項目があって当然ですが、研究・開発作業には付き物であり、批判が向けられる要因とは言えないはずです。
今後は6月下旬までを目標にガスの連続生産に取り組む予定と発表されていますので、状況を見守る必要があります。
次に発表される情報は「第2回メタンハイドレート海洋産出試験終了のお知らせ」になることが濃厚であり、発表内容によって次に採るべきプロセスが以下のようになるでしょう。
- 6月下旬までガス連続生産はできたか?
- できた
- ガス生産量はどのぐらいか
- 1ヶ月以上の連続生産にチャレンジできそうか
- できなかった
- 防砂対策が機能しなかった理由は何か
- ガス生産量はどのぐらいか
- できた
「 “出砂対策” が十分に機能したか」が最大の注目点と言えるでしょう。満足な結果が得られれば、ガス産出量や連続生産の期間を伸ばすといった点に比重を移す理由ができるからです。
しかし、砂が流入することを満足に防げず、試験が途中で打ち切りになるようであれば、『防砂対策』をやり直す必要が生じます。どこまで状況が進展しているのかが明らかになる大事な実証実験が行われている段階なのです。
中東地域で緊張が高まり、LNG などの資源の輸入に甚大な影響が生じるリスクがあることを軽視することはできないはずです。
メタンハイドレートが実用化に向けて目処が立つのであれば、エネルギー供給という点において大きな貢献を果たしてくれることでしょう。その点においてもメタンハイドレートの産出試験が上手く行くかには注目するだけの価値があると言えるのではないでしょうか。