産業スパイは “公益通報制度の守られるべき対象者” だと訴える野党と朝日新聞

 朝日新聞の南彰記者が「加計問題の内部告発者が処分を受ける可能性がある」と義家副大臣が示唆したと報じています。

 「法に抵触する行為をすれば罰せられる」という一般論に対し、「処分を示唆」と表現をエスカレートさせ、さらには「国家が平然と否定」などと過激化させる煽動の方が大きな問題と言えるでしょう。

 

 義家氏は「文科省の現職職員が公益通報制度の対象になるには、告発の内容が具体的にどのような法令違反に該当するのか明らかにすることが必要だ」と説明。さらに森氏が「『(告発者を)守る』と言えないのか。勇気を持って告発した人たちの権利を守ると言って欲しい」と求めると、義家氏は「一般論」と断った上で、「告発内容が法令違反に該当しない場合、非公知の行政運営上のプロセスを上司の許可無く外部に流出されることは、国家公務員法(違反)になる可能性がある」と述べた。

 

 自由党・森ゆうこ議員は “勇気を持って” 情報を盗み出した人物は守るべきと考えているのでしょう。しかし、『内部告発』の条件に該当しない事案であれば、『情報漏洩』です

 「違法行為に手を染めても無罪にすると明言しろ」と国会議員が要求していることの方が異様なことなのです。なぜ、朝日新聞はそのような違法行為を見逃せと要求しているのでしょうか。

 

公益通報となる条件は明記されている

 公益通報となる必要な事項は消費者庁が公開しています。これは義家副大臣が答弁した内容と同じです。

  1. 犯罪行為(刑罰規定に違反する行為)
  2. 最終的に刑罰につながる(刑罰規定に違反する)行為
    (例:「届出義務」⇒(届出義務違反)⇒「勧告」⇒(勧告違反)⇒「命令」⇒(命令違反)⇒「刑罰」)

 つまり、組織内部で行われている違法行為を告発した場合に限り、告発者は “守られる” ということになるのです。しかし、文科省の内部文書とされる文書には違法行為を示した内容はありません。

 もし、安倍首相が法律に触れる行為をしていたのであれば、ニュース番組のキャスターがこぞって「安倍首相の行為は〇〇法に違反している可能性があります。さらなる調査が不可欠なのではないでしょうか」と口撃をしているはずです。

 そうしたことはせず、“忖度” などという曖昧な言葉でイメージダウンを図ろうとするだけなのですから、「内部告発ではなく情報漏洩だ」と自分たちで宣言しているに過ぎないのです。

 

加計学園の文書内容が合法なら、告発者は守秘義務に問われる

 国家公務員は国家公務員法第100条で『守秘義務』を負っています。「その職を退いた後といえども同様とする」と明記されており、職務上知ることのできた秘密は漏らしてはならない立場にあるのです。

 そのため、告発した内容によって対応が次のように変わるのです。

  • 告発内容が合法 → 告発者が守秘義務違反に問われる
  • 告発内容が違法 → 告発者は公益通報者として守られる

 違法行為を内部にいる人物が告発することは公益であると言えるでしょう。しかし、法的に問題がない行為を告発することは公益とは言わないのです。

 

「内部告発」と主張すれば、世間が味方になるとは限らない

 「内部告発を行えば、世間一般が擁護してくれる」という考えはマスコミが世間に振りまいた幻想です。告発者のリスクを軽減するために公益通報制度がある訳ですから、わざわざ危険な橋を渡る必要はないはずです。

 マスコミが「内部告発」を奨励する理由は報じた記事で儲けることができるからです。真偽を証明する責任は告発者に押し付けて逃げることができますし、世間的に注目を集める事案で当事者のインタビューを掲載すれば、売り上げを伸ばすことにつながるからです。

 そのため、「内部告発」に該当しない情報漏洩案件であったとしても “内部告発” として扱うような真似をすることでしょう。

 しかし、守秘義務を平然と破るような人物を内部告発者として持ち上げたとしても世間は味方に付くことはありません。“告発” に値しない内容であれば、『一般法理』の出る幕はないのです。

 

放送法4条の時と同じく、NGO など “国連の方” から来た界隈が騒ぐことだろう

 朝日新聞の南彰記者が書いた記事を基に、“国連の方から来た” と主張する界隈が騒ぎ出すことでしょう。高市総務大臣が一般論として「放送法4条に抵触する場合は免許剥奪もある」と答弁した際と非常に似ています。

 「違法行為を黙認せよ」との主張は法治国家では通用しないことを自覚しなければなりません。

 自分たちの政治活動の妨げとなる場合は堂々と法律を破る一方で、政府にだけ「法を守れ」と主張するようでは有権者に理解されることはないと思われます。安倍政権を倒したいなら、正攻法で政策批判を展開すべきであり、レッテル貼りによるイメージ悪化戦略では野党の支持は広がらないのです。

 裏工作はネット上で暴露される時代になったことを自覚する必要があるのではないでしょうか。