原子力機構での被曝事故、5人の作業員全員が退院する

 茨城県大洗町にある原子力機構で作業員5名が被曝した事故で、全員が治療を終え、退院したと NHK が伝えています。

 放射能汚染など騒ぎ立てたマスコミはこのニュースを無視することでしょう。事故が起きた原因を究明し改善策を講じるよう求めることはもちろんですが、適切な対応ができていた点については評価することが必要と言えるはずです。

 

 原子力機構では、事故の発生前後の状況について聞き取りを行ったということです。それによりますと、今月6日の事故当時、50代の男性職員が放射性物質の入った金属製の容器を開けようと、ふたを固定していた6本のボルトのうち残り2本を緩めた際に、「シュ」という音がしたものの、この時点で周囲の汚染は確認されなかったとして作業を続けました。

 しかし、2本のボルトを外すと同時に容器の内部にあった樹脂製の袋が破裂し、容器の中から「モヤモヤと」した何らかの物質が漏れてきたということです。5人は重大な事故が起きたと判断し、室内の電話で外部に事故の状況を連絡し、汚染の拡大を防ぐために部屋に内側から鍵をかけ、別の出入口も外側から目張りをするよう求めたということです。

 

 

作業に当たっていた5名の落ち度は見当たらない

 発表された内容から、作業を行っていた5名の落ち度はないと言えます。

 容器を開けた時点で放射性物質が漏れ出す状況であれば、誰が作業をしても結果は同じです。その時点で作業続行に問題がなかった訳ですから、作業内容が批判の対象とはならないでしょう。

 樹脂製の袋が破裂した際の対応も的確です。

 事故の発生を外部に連絡し、放射性物質の拡散を最小限にするための判断ができていたからです。汚染拡大を帽子するために適切な判断をした5名と作業員全体にそのように教育を行えていた組織全体を褒めなければならないのです。

 

反省点1:5名の作業員を室内から退出に要した時間

 原子力機構が反省すべき1点目は「5名の作業員が退避するまでに要した時間が適切であったか」という点です。ただ、難しい条件を両立させる必要があり、準備にある程度の時間を要することを理解しなければなりません。

  1. 放射性物質を外部に拡散させない
  2. 被曝した作業員を速やかに退避させる

 作業員の退避を優先させた結果、放射性物質が外部に拡散しては元も子もありません。逆に、放射性物質の拡散防止を優先したことで作業員を見殺しにするようでは世間から「ありえない」と猛バッシングを受けることでしょう。

 今回の件では「準備が適切に進んだ上で作業員の退避に3時間を要したのか」という点で事故調査が行われるべきです。

 ベストを尽くしも3時間前後を要する見込みであるなら、簡易シェルターを設けるなどの対策を講じるべきです。もし、時間を短縮できる要因があるのであれば、工程を見直すことに重点を置く必要があると言えるでしょう。

 

反省点2:放射性物質の保管方法

 もう1つの見直すべき点は「放射性物質の保管方法」でしょう。金属製の容器内で保管されていた樹脂製の袋が膨張していたとのことですから、この点は要改善項目になり得ると言えるはずです。

 作業を行う上で袋は不可欠です。材質に問題があるなら、「材質そのものを見直す」か「作業で使う期間を短縮するようルールを設ける」といった形での対策が必要になると考えられます。

 批判すべき点を論理的に指摘することが外部から改善を促す原動力になると言えるでしょう。言いがかりのようなバッシングをするだけでは何の効果も生み出さないことを自覚する必要があるのではないでしょうか。