週刊文春は「加計学園問題で “粗悪弾” を込めた文春砲を打つ」ほどに落ちぶれた

 週刊文春が2017年6月22日号で「安倍首相が生贄にする文科省女性課長補佐(33)」と書き、『加計学園問題』で政権を批判しています。

 しかし、『文春砲』がどれだけ威力があろうと、“粗悪弾” を使っているようでは暴発するだけです。国家戦略特区のワーキンググループが公表している議事録との整合性を確認するという基本を疎かにしている実態は明らかにしておく必要があるでしょう。

 

1:文春が手に染めた “チェリーピッキング”

 週刊文春に掲載されたのは以下の記事です。文春ではAさんと紹介されていますが、公開されている2015年6月の議事録(PDF)から牧野美穂氏であることは明らかです。なぜ、公開情報を文春がわざわざ匿名していることが不思議と言えるでしょう。

画像:週刊文春2017年6月22日号

 

 藤原氏と同じ経産省出身の外部委員が「文科省さんのお考えとしては新しい分野などは存在しないだろうと、ニーズはないでしょうとお考えになっている」などと迫ると、Aさんはこう応じている。

 「そこまでは言ってませんけれども、既存の獣医師養成の分野に関しては今足りているというように我々は農水省さんから聞いておりますので、その上で関係者も納得するような、これは新しい構想だというようなものを具体的な需要な数までも示した上でお示しいただければ」

 文春は「去年(=2016年)8月から急に圧力が強まった」と批判する文面を作っています。これは完全な “チェリーピッキング” と言うことができるでしょう。

 

2:文春はなぜ「Aさんの発言に対する委員からの反論」を記事に掲載しないのか

 文春が “チェリーピッキング” をしたと断言できるのはワーキンググループの議事録(PDF)を確認すれば、明らかです。

画像:ワーキンググループでの議事録

 Aさん(牧野美穂氏)が発言した直後に原委員から「挙証責任がひっくり返っている」と批判され、八代委員からは「文科省にとってリスクがあるわけですね。需給の必要性ということについて全部農水省に丸投げしておいて、もし訴えられたりしたらどうなるのか」と厳しい指摘を受けています。

 これでは全く意味が異なってきます。

 文科省が挙証責任がある立場であるにもかかわらず、「規制緩和を求める側が獣医師が不足していることを示せ」と文科省を擁護するでっち上げ記事を書いたのです。これは非常に悪質なデマ記事と言えるでしょう。

 

3:期日を守らなければ催促が来ることは当然だ

 週刊文春は「去年(=2016年)8月から急に圧力が強まった」と批判する内容を続けて記載しています。しかし、2016年3月31日までに示すはずの需要予測を文科省が提示いなければ、催促が来ることは当たり前のことと言えるでしょう。

画像:獣医学部新設に関するワーキンググループの流れ

 アサインされた仕事をサボっていれば、普通は発注主から叱責されます。週刊文春では編集会議で決定・割り当てられた仕事を期日までに終えていない状況でも催促されずに済む職場なのでしょうか。

表1:加計学園の国家戦略特区認定プロセス
実際のプロセス マスコミの誤った認識
  1. 文科省が獣医師の需要予測を示す
  2. 1で「獣医師が足りている」と文科省が示せば、拒否権が発動
  3. 2で拒否権が発動しなければ、獣医学部の新設が特区として認可
  1. 政府が獣医師の需要予測を示す
  2. 1で「獣医師が足りていない」と示されれば、獣医学部の新設が特区として認可
  3. 2で獣医師不足が政府から示されない限り、現状維持

 拒否権の根拠となる「獣医師が足りていること」を挙証できなければ、獣医学部新設に対する拒否権は行使できないのです。既得権益を持つ文科省が岩盤を死守することは自然な反応ですが、マスコミがそれを好意的に報じることは異様なことなのです。

 

4:「総理のご意向文書」は文科省内部での言い訳が記載されたものに過ぎない

 マスコミは「総理のご意向が反映された」と批判しています。しかし、“文書” が作られたのは文科省に課された需要予測を示す期日を過ぎ、ワーキンググループでそのことを叱責された後なのです。

 仕事をサボタージュする根拠が皆無になり、「もはや言い訳による時間稼ぎはできない」と文科省の上層部に報告する内容以上のものは含まれていないのです。

 それを部分的に切り取り、議事録という当事者全体が内容を確認している公式記録ではなく、既得権益を持つ文科省の主張内容ばかりを報道しているマスコミの姿勢は極めて問題だと言えるでしょう。

 文春ですら、“粗悪弾” で政権攻撃をしているのです。他のマスコミも同じ穴のムジナである可能性が高いと見ておくべきと言えるのではないでしょうか。