環境相が石炭火力発電所の新設見直しを要求するなら、原発再稼働も強く求めなければならない

 日経新聞によりますと、山本公一環境相が8月1日に世耕経産相に対し、中部電力による石炭火力発電所の新設を見合わせるようとする意見書を提出したとのことです。

 「温暖化ガスの削減」を目的としているのであれば、石炭火力発電所の新設を止めるだけではなく、原発再稼働を要望しなければ矛盾することになります。一貫性を持った姿勢を維持できるかが鍵となるでしょう。

 

 山本公一環境相は1日、中部電力が愛知県武豊町で計画する大型石炭火力発電所の新設について、老朽化した他の火力発電所の休廃止などを求める意見書を世耕弘成経済産業相に提出した。環境影響評価(環境アセスメント)法に基づく手続きの一環。

 山本環境相は国が掲げる2030年以降の温暖化ガス削減が難しくなることを懸念。「世界の潮流のなかで石炭火力に厳しい目が向けられている」と指摘し、二酸化炭素(CO2)排出が増えることを問題視した。

 

 環境相が環境に配慮することは当然と言えるでしょう。それが期待されている立場の閣僚だからです。

 「温室効果ガスの1つである二酸化炭素の排出を抑える」という目標であるなら、二酸化炭素の排出を抑えることに有効な対策を全面的に支持しなければなりません。原発再稼働を求める意見を表明する必要があるからです。

 

 特に矛盾した主張を展開しているのはグリーンピースのような NGO や環境保護団体です。

  • 石炭火力発電:大気汚染による健康被害が出るため反対
  • 原子力発電:放射能による健康被害が生じる恐れがあるため反対
    (→ 大気汚染を軽減できる数少ない発電方法)

 環境 NGO は「大気汚染や温暖化」に反対を表明しています。その観点で石炭火力発電に否定的な見解を持つことは当然でしょう。

 

 グリーンピースはレポートで以下のように報じています。

 2013年、日本において1日あたり約180人の早期死亡が大気汚染によるものと推定され、1990年から2013年の間、死者数は40%増加したとされている。 さらに対象となる石炭火力発電所の計画が建設されてすべて稼働すると次のような悪化が想定される。

 「大気汚染が原因で寿命が縮まる」というレポートが様々な団体で発表されています。これを根拠に石炭火力発電に反対することは自然なことです。

 しかし、原発に反対することは明らかに矛盾します。彼らが懸念する大気汚染の原因を取り除く発電方法であり、原発は石炭火力発電などとは異なり環境汚染による死者数を増加させていないのです。

 根拠を示すことができない反原発派はイデオロギーに基づく活動をしているだけと言えるでしょう。

 

 環境相にせよ、環境 NGO にせよ、環境を守る認識があるなら原子力発電所の再稼働を求める意見を表明しなければなりません。なぜなら、温室効果ガスを排出しない安全な発電方法だからです。

 原子力発電は火力発電のようなリスクがあることをレポートして発表されていないのですから、不安を煽る手法は極めて不適切と言えるでしょう。奇妙なダブルスタンダードを止めることが環境に配慮するという点で最も大事なことなのではないでしょうか。