受動喫煙対策は支持できるが、都民ファーストの『家庭内禁煙条例』は絶対に支持できない

 厚労省が取り組む受動喫煙対策は必要性を感じている人が多いことでしょう。

 小池百合子都知事が率いる都民ファーストは受動喫煙対策に積極的なのですが、『家庭内禁煙条例』を制定するために動いていると朝日新聞が伝えています。

 しかし、この条例に賛成することはできません。なぜなら、明らかに個人の自由を侵害するリスクの高い条例となっているからです。

 

 小池百合子・東京都知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」は3日、子どもの受動喫煙を防ぐための条例案を9月開会の都議会に提出する方針を明らかにした。子どもがいる自宅や自家用車の中、通学路などでの禁煙について、罰則規定を設けず、努力義務を課す案を検討中だという。

 

 受動喫煙対策に乗り出す姿勢は評価できますが、自宅や自家用車にまで対象を広げることには反対です。

 制限を課すのであれば、「子供が立ち入ることができる施設および建物」が限度と言えるでしょう。学校・病院・オフィスビルなどが禁煙の対象になることは理解できます。

 しかし、個人の住宅内にまで努力義務とは言え、禁煙を課すことはやりすぎです。

 

 もし、個人の自宅内も対象となった禁煙条例を制定するのであれば、同様の理由を根拠に自宅内での禁酒条例も制定されることにも関連してくるからです。

 未成年者は法律で喫煙・飲酒が禁じられています。「自宅で喫煙すべきでない」という努力義務を課す条例が通過するのであれば、「自宅で飲酒すべきでない」という条例ができても不思議ではないでしょう。

 禁止の根拠はどちらも同じである訳ですから、言葉を少し変更するだけで成立させることができるのです。少なくとも、「対象範囲を広げすぎであり、罰則規定が適応される範囲内に絞るべき」との声をあげなければなりません。

 後になって、「努力義務では効果が薄かったため、罰則規定を導入する」と条例を改正されてしまうと悲惨なことになるからです。

 

 マスコミは自らの役割を「権力の監視である」と日頃から主張しています。東京都という強大な権力を持った行政が “個人の自由” を明らかに阻害する条例を提出しようと動いている訳ですから、批判の声をあげるべきでしょう。

 少なくとも、「条例案をそのまま成立させることには反対」の表明はあって当然です。

 安倍政権を批判してくれそうとの理由で “独裁者” のような振る舞いを始めた政党・政治家に何ら声をあげない方が危険なことなのではないでしょうか。