トランプ大統領、幼少期に不法入国した若者に対する特別措置の撤廃を発表

 オバマ政権時に「子供の時にアメリカに不法入国した若者に在留資格を与える」との措置が導入されましたが、これをトランプ代表が撤回すると表明したと NHK が報じています。

 対象となる若者80万人が強制送還の危機に直面していると報じらえており、予想どおりデモ活動などで反発が起きています。ただ、入国管理に大きな穴が開いている状況を放置し続けることは論外と言えるでしょう。

 

 トランプ政権は5日、メキシコなどから子どものときに親に連れられアメリカに不法入国した若者に在留資格や就労許可を与える、オバマ前政権が導入した措置について「憲法違反だ」として撤廃すると発表しました。

 一方で、来年3月までの半年間猶予期間を設け、議会に対応策を検討するよう求めていて、トランプ大統領は記者団に対し「私はこうした若者たちを愛しており、議会が彼らを助けることを期待している」と述べました。

 しかし、対応策が講じられないとおよそ80万人の若者が順次、強制送還される可能性があることから、首都ワシントンやニューヨークなど全米各地で対象となる若者などが参加して抗議デモが行われました。

 

 政府の示した方針に賛否両論があって当然です。ただ、不法入国という法を破った人物がメリットを得られることが確定してしまうと誰かが不利益を被ることになるのです。

 アメリカでは “アンカー・ベイビー” が問題となっていますが、それに似た状況なのです。「子供なら、アメリカに不法入国しても罪に問われない」という間違ったメッセージを送ることはマイナス面が大きくなることでしょう。

 

1:議会で「オバマ政権の措置」を立法化という形で承認すれば済むこと

 問題となっているのは「オバマ大統領が大統領令という形で出した措置がトランプ大統領によって打ち消されようとしていること」が理由です。

 大統領は前大統領が出した大統領令を撤回する権限を持つのですから、当然と言えるでしょう。ただ、救済策がない訳ではありません。

 アメリカ議会で「オバマ政権が導入した措置と同じ効果を持つ法案」を通せば良いからです。

 そうすれば、強制送還の恐れがある約80万人の若者は引き続きアメリカに留まることが可能になります。トランプ大統領による措置撤回に反対するデモ活動を行った後は、連邦議員に「オバマ政権が導入した措置と同じ効果を持つ法案」を立法化するよう働きかけを行うべきなのです。

 

2:デモ活動で満足するリベラルの欺瞞

 ところが、リベラルはデモ活動で満足しています。「オイシイとこどり」をすることが染み付いているせいか、汗をかく労力を惜しむ傾向にあると言えるでしょう。

 “ドリーマー” 約80万人の面倒をリベラルが責任を持って見るなら、反発が大きくなることはありません。しかし、必要となるコストを社会全体で負担することを要求するから、批判や反感を招くことになるのです。

 他人に請求書を押し付け、成果は自分の実績としてアピールする輩がマスコミやメディアに登場するのです。リベラルを毛嫌いする人が出てくることは当然の結果と言えるでしょう。

 支援の手を差し伸べるのであれば、最後まで責任を取らなければなりません。途中で投げ出すと、そのツケは支援に反対していた人を含めた社会全体が背負うこととなるのです。

 声をあげたリベラルが自分たちの予算で成功例を示し、それに準じる形で徐々に対象を広げていく。この順序を守らなければ、多数派が理解を示すということにはならないでしょう。

 

3:“ドリーマー” のために、地元住民が “悪夢” を見る羽目になっても良いのか

 アメリカではトランプ大統領の方針に反対する人々が強制送還の恐れのある若者のことを “ドリーマー” と呼び、擁護する姿勢を示しています。

 しかし、「 “ドリーマー” のために、地元民が “悪夢” を見るという問題にどう対処するのか」と問われることは確実です。安全な立場にいる人物が「ドリーマーを守れ」と主張しても、「なぜ、我々がその負担を背負うことを強制されるのか」と反発は起きることは想定していなければなりません。

 全員が全員、シリコンバレーの超一流企業で働ける人材ではないのです。地域に悪夢をもたらす “ドリーマー” もいる訳ですから、“ドリーマー” 全員を救済するのであれば、“ドリーマー” によって引き起こされた損害に対する救済策も明確しておくことが必須と言えるでしょう。

 損害を受けない立場にいれば、キレイゴトを述べているという自覚すらありません。むしろ、「自分は良いことをいている」との満足感を得ることでしょう。ただ、ルールの逸脱を認めることは “しわ寄せ” がどこかで発生しており、その反発が起きることは時間の問題であることを知っておく必要があると言えるのではないでしょうか。