今の本田と香川をロシアW杯に連れて行くことは無謀

 サッカー・ロシアW杯のアジア予選が終わり、ハリル・ジャパンは出場権を獲得することに成功しました。

 大会の登録選手数は23名ですが、現状では本田圭佑および香川真司の両選手は戦力外でしょう。「攻撃を牽引した」と褒めている一部の有識者がいるようですが、明らかな間違いだと断言できるからです。

 

1:本田と香川は「2次予選」で得点を積み重ねたに過ぎない

 今回のロシアW杯・アジア予選で日本は2次予選から登場し、最終予選(3次予選)でW杯出場権を獲得しました。つまり、「予選での成績」は2次予選と最終予選の成績を合わせたものなのです。

 それではウィンガーとして起用された選手の出場成績を確認することにしましょう。

選手名 大会名 得点 時間
本田 圭佑 2次予選 7 (6) 6 (4) 553'
最終予選 9 (6) 1 (2) 556'
合計 16 (12) 7 (6) 1109'
香川 真司 2次予選 8 (6) 5 (3) 528'
最終予選 6 (5) 1 441'
合計 14 (11) 6 (3) 969'
選手名 大会名 得点 時間
原口 元気 2次予選 8 (4) 1 (1) 402'
最終予選 10 (8) 4 (1) 706'
合計 18 (12) 5 (2) 1108'
清武 弘嗣 2次予選 4 (2) 1 (2) 181'
最終予選 5 (3) 1 (3) 239'
合計 9 (5) 2 (5) 420'
久保 裕也 最終予選 6 (4) 2 (2) 308'
合計 6 (4) 2 (2) 308'
浅野 拓磨 最終予選 6 (2) 2 261'
合計 6 (2) 2 261'

 

 本田と香川の両選手を「攻撃を牽引した」、「チームの支柱」と評するには無理があります。彼らは “明らかにレベルの落ちる” アジア・2次予選で得点・アシスト数を稼いだに過ぎず、アジア最終予選では足手まとい状態だったのです。

 この現状が続くのであれば、ロシアW杯のメンバーに含めることは自殺行為と言えるでしょう。

 

2:劣勢になることが前提のチームで存在感を発揮できる選手を優先すべき

 ハリルホジッチ監督がどのようなフォーメーションを採用するにしても、サイドで攻撃的な役割に比重が置かれた選手は必要不可欠であることは確実です。ただ、“ソリッド” な選手が重宝されると考えられるだけにメディアが好む選手は落選する可能性があります。

  • コンディションが良いこと
  • 攻守にハードワークできる走力を持つ
  • FW であっても守備をサボらない
  • 前線の選手は中央ならポストプレー、サイドなら個の能力で突破できること

 MF と FW の選考基準は上記のものになるでしょう。

 W杯に出るチームは日本代表よりも強いチームが多く、アジア勢が主導権を握る試合は稀です。そのため、劣勢になることを前提にしたメンバー選考をする必要があります。

 “ポゼッションの亡霊” に取り憑かれている一部のサッカー識者は「攻めの姿勢」をこだわるでしょう。しかし、現在の日本代表には強豪国を相手にポゼッションで勝る試合をして、勝ち切ることができる選手はいないという現実を見なければならないのです。

 

3:アジア最終予選で “消えていた選手” にW杯で何を期待するのか

 マスコミは “代表の顔” として扱ってきた本田、香川の両選手をチームの核に据えたチーム編成を要求することでしょう。しかし、アジア最終予選レベルで “消えていた選手” をチームの中心にすることは自殺行為です。

 少なくとも、所属チームで確固たる地位を築くほどのパフォーマンスを見せなければ、選手が希望するポジションを与えるべきではありません。

 「W杯で優勝する」と豪語してブラジルW杯を迎え、散々な内容で敗退した前回大会の反省を活かさなければならないのです。日本代表にはメッシもクリスティアーノ・ロナウドもいません。また、スペインやドイツのようにチームとしてポゼッションで相手を圧倒できる力もないのです。

 マンツーマンで守る切ることができる選手を要していない以上、「前線から組織的な守備」をすることは結果を残す上で不可欠です。守備陣に適切な評価を下してこなかったツケを払っているに過ぎないと言えるのではないでしょうか。