中高生などの読解力不足を嘆くマスコミこそ、そこに付け込んだ商売をしているという現実がある

 主語と述語の関係といった “係り受け” などの文書の基本構造を理解できていない中高生が多く存在すると見られることが調査で明らかになったと日経新聞が伝えています。

 読解力不足は個人に跳ね返ってくることが一般的です。しかし、読者の読解力不足や思い込みを悪用し、自らの主張内容を世間に広めようとするメディアが存在している現実を見落とすべきではないと言えるでしょう。

 

 主語と述語の関係といった「係り受け」など、文章の基本的な構造を理解できていない中高生が多くいるとみられることが、国立情報学研究所の新井紀子教授らの研究チームによる調査で27日までに分かった。新井教授は「読解力が不十分だと社会生活を送る上でも大きな影響が出る」と懸念している。

 (中略)

 似た文章の意味を比べた出題では「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」と中学校教科書の一文を引用。「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」と同じ意味かどうかを尋ねた。「同じ」と誤答した中学生は約43%を占め、高校生でも約28%が間違えた。

 

 読解力が低ければ、情報弱者になる可能性が極めて高いと言えるでしょう。

 情報を入手できないことが理由ではなく、入手した情報の内容を正確に理解できないからです。すべての情報には “書き手の意図” が含まれています。一次情報でも、マスコミが報じたニュースでも同様です。この前提を認識していないと落とし穴にはまることになるのです。

 

1:似た文書でも、意味は全く異なる

 文書が同じであるかを確認するために有効なのは「書かれている内容を図示してみること」です。日経新聞が報じた例題では以下のようになります。

画像:読解力

 出題例で使われている固有名詞は同じですが、主語や動作の対象が入れ替わっています。

 2つの文書では「沿岸の警備が命じられた対象」が逆転していることが決定的に異なる点です。また、「誰がポルトガル人を追放したのかを断定できるか」という点でも差異が生じていると言えるでしょう。

 

2:“動作の主体” を隠す書き方は朝日新聞の十八番

 読解力のなさに付け込んだ記事を書くのは朝日新聞の十八番と言えるでしょう。なぜなら、慰安婦問題をおける一連の報道がそれを示しているからです。

  • 当初:日本軍が朝鮮人女性を強制連行し、従軍慰安婦とした
  • 現在:朝鮮人女性が強制連行され、従軍慰安婦となった
    → 誰に連行されたのかが不明

 朝日新聞は「日本軍が朝鮮人女性を強制連行した」と書いていました。しかし、これがデマだったことが判明したことで朝日新聞は主語を隠す書き方に変更したのです。

 「朝鮮人女性が強制連行され、従軍慰安婦となった」と書きますが、誰が朝鮮人女性を慰安婦にするために連れ去ったのかは明記しない方針にシフトしたのです。ただ、日本軍が連れ去ったと匂わせる文面を合わせて記載されているため、デマが依然として流れている原因と言えるでしょう。

 

 世の中には意図的に誤解を与える書き方をする人物・組織が存在するのです。特に、マスコミが “疑惑” を追求する際に問題のある書き方が現れやすい傾向にあります。

 『報道しない自由』という言葉でまとめられていますが、「文書自体を書かないこと」や「意図的に動作の主体を隠すこと」で印象論に基づく誤ったイメージを広めるということが可能なのです。

 間違った情報を基に判断を下せば、悪い結果になることは当然です。それを防ぐためには情報を多角的に見ることが必要であると同時に、情報の内容を正しく読み解く力も欠かません。

 メディアに踊らされて、損をすることがないように読解力を身につける必要性を自覚する必要性があると言えるのではないでしょうか。