『軽減税率の適用』を強く主張した新聞社が「安易な税収確保に走るな」と批判する姿勢は恥ずべきものだ

 読売新聞が12月15日付の社説で「安易な税収確保策が目に余る」と与党の税制大綱を批判しています。

 少なくとも、大手新聞社にこのような主張を展開する資格はありません。なぜなら、消費増税に反対し、自らの業界へは軽減税率の適用を強く要求したからです。明らかに矛盾する姿勢であり、恥ずべきものと言えるでしょう。

 

 国の最大税目である所得税を時代に合った姿に正す。その狙いとは程遠く、「取りやすいところから取る」安易な手法に終始した感が強い。

 (中略)

 所得税は、収入がガラス張りの会社員と、自営業者などとの公平性の確保が問題視されてもいる。消費税など間接税に比重を移す方向性が考えられる。

 こうした抜本的な改革に着実に踏み出すことが重要だ。

 

 政府が「取りやすいところから取る」という手法を採ったことは事実でしょう。しかし、新聞社はこの原因を作った一角なのです。この事実を無視した論説は恥ずべきものと言わざるを得ません。

 

1:軽減税率の適応を強く要求しておきながら、所得税アップに文句を述べる新聞社

 財政問題を語るのであれば、「社会保障費の膨張」を避けることはできません。年金・医療費の増加分がそのまま財政赤字となっているのです。

 それを補うための消費税率の引き上げという形で方向性が示されたのですが、売上減を強く懸念する新聞業界が強く反発したという経緯があります

 「消費税率が 10% になった際、新聞は 8% に据え置く」という優遇策が軽減税率です。つまり、国の税収がダウンすることと引き換えに新聞社は恩恵を受けることになるのです。

 このことを棚に上げ、政府の税制方針を批判する資格は新聞社にはないと言えるでしょう。

 

2:高給取りのマスコミが「高所得者への所得税アップ」に反対するのは自己保身でもある

 与党の税制大綱は「給与所得控除の見直し」が目玉です。具体的には年収850万円超の会社員が増税となり、高給取りで知られるマスコミ関係者も対象となるでしょう。

 新聞社は組織として「新聞社への軽減税率適用」を求め、個人として「給与所得控除の見直しに批判」という論陣を張っているのです。

 自分たちの利益を最大化するための動きとしては最高のものでしょう。しかし、我田引水をしているマスコミが「財政再建」を語る資格がないことは明らかです。

 財政再建の必要性を述べていますが、言動と行動が一致していないのです。明らかに矛盾した姿勢を貫いているのですから、よほど面の皮が厚くないとメディアで働くことは難しいのでしょう。

 

 政府はマスコミからの “強い要望” に忖度し、「新聞業界への軽減税率撤回」を打ち出すべきでしょう。邪推による憶測記事を書き続け、誤りを訂正しない機関が社会にとって必要不可欠とは言えないはずです。他の業種と同じ消費税を適応すべきと言えるのではないでしょうか。