長友がインテルでポジションを取り戻せるかは「スパレッティが来季をどれだけ見据えるか」によるだろう

 イタリアのインテル・ミラノに所属する長友佑都選手が11月の代表戦ウィークを終えてから、ポジションを失っている状況が続いています。

 ただ、ポジションを得たサントン選手のパフォーマンスが今ひとつであり、左サイドバックの序列は定まっていないと言えるでしょう。スパレッティ監督がどこまでサントン選手を我慢強く起用するかが注目点です。

 

1:11月の代表戦でポジションを奪われた長友

 長友選手は11月に行われたブラジル戦とベルギー戦に日本代表としてフル出場しました。そのため、代表戦が終わった直後のアタランタ戦はベンチスタートとなりました。

 これは「選手の疲労」を考慮すれば、当然の判断と言えるでしょう。

 インテルは今季 UEFA が主催するヨーロッパの大会への出場権を保持していません。「所属選手が腐らないようにする」という意味でも、控え選手と目されていた選手にもチャンスを与えることは監督の判断として間違いではないのです。

 

 

2:来季を見据えると、サントンの成長を促すことは必須

 スパレッティ監督がサントン選手を辛抱強く起用している理由は来季以降を見据えているからでしょう。なぜなら、インテルは来シーズンの UEFAチャンピオンズリーグ出場権を手にする可能性が現実にあり、登録選手枠に気を配る必要があるからです。

  • UEFA チャンピオンズリーグ:選手登録規則
    • Aリスト(年齢制限なし)の上限は25選手
    • Aリストのうち、2選手は GK でなければならない
    • 8選手以上が「自国内育成選手」であること
    • 「自国内育成選手」のうち、4選手以上が「クラブ内育成選手」でなければならない

 サントン選手は “インテルのクラブ内育成選手” です。他にはベルニ選手(第3GK)とピナモンティ選手の2名が満たすだけであり、彼ら3選手は別枠で扱う必要があるのです。

 「クラブ内育成選手」がゼロでも、チャンピオンズリーグを戦うことは可能です。ただ、その代償が「Aリストの登録選手数の上限が21選手」になるため、(来季以降の)戦力として計算ができる可能性が高いサントン選手の成長を忍耐強く待つことは中長期的な視点として正しいと言えるでしょう。

 

3:失速が許されない現状に変わりはなく、スパレッティ監督がどこまで辛抱するかがポイント

 巨額の賞金を手にすることが可能な UEFA チャンピオンズリーグへの出場権はビッグクラブが経営を維持する上で必要不可欠なものです。そのため、気長に選手の成長を待ち続けることができないという現実もあります。

 スパレッティ監督が「サントン選手やダウベルト選手がポジションを掴む」という『中長期的な理想』と「チャンピオンズリーグの出場権を得るためにポイントを積み重ねる」という『短期的な目標』をどう両立させるかがポイントと言えるでしょう。

 インテルの左サイドを狙い撃ちにされ、勝点を落とす試合が続いています。守備面が評価されている長友選手にチャンスが与えられることは時間の問題だと思われます。

 ミラン戦(コッパ・イタリア)、ラツィオ戦(セリエA)と重要度の高い試合が続く日程の中でどのように起用されるかが注目点と言えるのではないでしょうか。