アメリカ、トランプ大統領の減税政策で賃上げと成長率アップの効果を手にする

 メディアからの風当たりが強いトランプ大統領ですが、経済面で成果を出していることは否定できないでしょう。

 日経新聞によりますと、法人税率の引き下げで賃上げ等の施策を公表した企業は160社超。NHK も「IMF はアメリカの GDP を 2% 後半に上方修正へ」と報じており、経済に良い効果をもたらしていると言えるはずです。

 

 与党・共和党のライアン下院議長は「賞与や賃上げ、米国内投資といった施策を公表した企業は160社を超す」と語った。賃上げなどの対象となる米労働者は既に260万人を超すという。

 (中略)

 米国の法人税率はこれまで35%と高く、海外で稼いだ利益も米国に戻した時点で35%を課税する仕組みだった。ただ、17年末に決まった税制改革では18年から法人税率を21%に下げ、さらに海外所得は米国に資金還流しても原則非課税とした。こうした措置が今回の巨額投資の決断を促したのは間違いない。

 

 「法人税を増税することで、賃上げができる」と主張している日本の野党・マスコミはアメリカで自分たちの主張とは真逆の動きが起きている理由を説明しなければなりません

 なぜなら、“法人税率を引き下げたアメリカ” で賃上げの動きが活発になったのです。「税率を重くすることが経済成長につながる」という『反証』が示された訳ですから、そのことに根拠を示して反論しなければならないことは当然と言えるでしょう。

 

1:「企業は常に成長し続ける」という野党やマスコミが持つ思い込み

 日本の野党やマスコミは「企業は常に大きく成長し続ける」という高度経済成長期の “幻影” を今も抱き続けています。これが致命的な間違いなのです。

  • 企業は常に成長する
  • だから、従業員の賃上げは当然である
  • 法人税率を高く設定し、賃上げ率に応じて法人税率を引くことで経済成長が起きる

 野党やマスコミが主張しているのは「法人税率が 40% でも賃上げ率が 15% なら、法人税率は 25% となる減税政策を打ち出せば経済成長はできる」というものです。

 これは “非現実的な発想” です。「コストの大部分が人件費」というのはサッカーや野球など億単位の年俸を得ているプロスポーツチームぐらいでしょう。大部分の企業は設備投資が必要ですし、何より目標と定めた売上高を毎年クリアすることは簡単ではないのです。

 

2:トランプ大統領の「法人税率引き下げ」でアメリカにもたらされたこと

 トランプ大統領は法人税率の引き下げを含む減税政策を実行しました。それにより、次のような効果がアメリカ経済にもたらされたのです。

  • 賞与や賃上げの実施
  • アメリカ国内への投資
  • GDP が 2.3% から 2% 台後半に大幅な上方修正(IMF)

 稼いでも国が税金として多くを持っていく市場は企業とっては魅力的ではありません。そのため、投資の敬遠を招き、市場の規模が大きくなることはないのです。

 アメリカではトランプ大統領の減税政策によって、企業が恩恵を受けることになりました。もちろん、その恩恵を企業(のトップなど)が総取りすることも可能でしたが、高給すぎとの批判が今以上に強まることを恐れもあってか恩恵は従業員などにも分配される結果となっています。

 

3:「人口の多い高福祉(≒ 重税)国家で経済大国」は存在しない

 リベラル派が理想とする『高福祉国家』ですが、成立しているのは “北欧の小国” に限定されます。

  スウェーデン デンマーク
面積 約45万 km2
(日本の1.2倍)
約4.3万 km2
(九州ほどの大きさ)
人口 約1000万人
(2017年1月)
約570万人
(2017年)
GDP 5110億ドル
(2016年、IMF)
3067億ドル
(2016年、IMF)

 もし、高福祉が経済成長に大きく寄与するのであれば、“北欧の小国” という言葉は時代遅れになっていることでしょう。なぜなら、小国から大国へと成長と遂げているはずであり、そのような表現は「ヘイトスピーチ」との批判を受けているはずだからです。

 しかし、そのように成長した高福祉国家は存在しないことが現状です。つまり、「良くて現状維持、悪ければ衰退」という現実から目を背けるべきではないと言えるでしょう。

 

 市場の規模が小さいのであれば、企業が感じる魅力も低くなります。また、投資をして市場を開拓したとしても、その儲けのほとんどは国が税金という形で持っていくのが高福祉国家なのです。これでは外国企業が投資を敬遠して当然と言えるでしょう。

 また、海外展開できる力のある優良企業は国外展開に力を入れるため、国内産業の空洞化を招くことになります。

 観光資源と近隣に大きな人口を持つ友好国があれば、一定数の国民を食べさせることは可能です。ただ、経済大国にとっては非現実的な政策であり、“信頼できる大国や国際組織” に自国の命運を託すことができる小国でのみ有効な政策であることを自覚しなければなりません。

 大国であるアメリカは法人税率の引き下げで経済にプラスの効果をもたらしました。アメリカができたことは日本でもできる訳ですから、日本流にアレンジすることができるかが政治家の課題であり、賃上げという結果を出すことが経営者の役割の1つと言えるのではないでしょうか。