立憲民主党・尾辻かな子議員が要求する「調査票の開示」は目的外利用であり、機密保持を蔑ろにする行為だ

 国会で議論されている『働き方改革』は「厚労省が提示した調査票に基づくデータ(の一部)に誤りがあったこと」を理由に野党などが批判の声を強めています。

 その中で、立憲民主党の尾辻かな子議員(衆院大阪2区・比例復活)が自身のツイッター上で「調査票が開示されないのはおかしい」と投稿していますが、これは筋違いな主張です。なぜなら、機密保持の概念を完全に無視する内容となっているからです。

 

1:尾辻かな子議員のツイート

 尾辻議員(立憲民主党)は厚労省に乗り込み、押し問答したことを次のようにツイートしています。

画像:尾辻かな子議員のツイート

 

 厚労省。通された会議室には1箱。全部見たいと何度も交渉して、やっと32箱が運ばれる。中身が本当に調査票なのか確認をといっても開けられないとの押し問答。マスコミには見せられないと拒否されるが、マスコミが見られなければ市民はわからないと粘ってやっとマスコミ入室。なぜここまで隠すのか。

 これでは行政経由で情報漏洩が行われるケースが後を絶たなくて当然と言えるでしょう。

 なぜなら、尾辻かな子議員の要求は「情報管理をするな」と言っていることと同じです。このことに気づいていないなら、あまりに致命的と言わざるを得ません。

 

2:国会議員には『目的外利用』が許されるのか

 個人情報保護の法整備が行われたことで、「調査」を行う際のルールが厳格になりました。 厚労省が保管する「国会で問題視されている調査票」も、以下の点に対する機密管理保護を約束していることでしょう。

  1. 何を目的に行われる調査なのか
  2. 回答を記載した調査票の取り扱いはどうなるのか

 1点目は「裁量労働制を導入した際の労働時間について」、2点目は「厚労省がデータを作成するためのみに利用し、目的外での利用は行わない」と制約を設けているはずです。

 これを尾辻議員は「市民の理解が得られない」との理由で調査票をマスコミに開示しろと要求していますが、調査票の扱いは内部通報と同じと捉えると良いでしょう。

 つまり、「なぜ、内部通報の情報を開示できないのか。マスコミが見られなければ、市民は分からない」と主張していることと同じなのです。会社に不利益な情報提供をした人物は報復を受ける可能性があります。

 尾辻議員がやっていることは「報復に出る可能性がある側のアシストをしているも同然」であると認識しておく必要があるでしょう。

 

3:個人情報が守られない調査に協力してくれる人は減少する

 尾辻かな子議員の行為は完全な愚行です。擁護できるものではありませんし、本人が謝罪することが最低限の責務です。

 なぜなら、こうした行為が明るみに出ることで社会調査の精度が極めて悪化することになるからです。

 法律では線引きが必要となります。その際、「どこに線を引くことが適切か」を判断するために『調査』は必須です。

 ところが、法案に反対する野党が難癖を付ける形で「調査票の内容を見せろ」と目的外利用に加え、情報管理そのものを無視した要求をしているのです。これでは違法行為そのものが野放しにされている野党支持者からの報復を恐れ、調査に協力してくれない人が増えることになるでしょう。

 その結果、調査の精度が落ちますし、調査そのものが無駄になってしまいます。予算を浪費する行為でもある訳ですから、個人情報を含む情報が漏れ放題となるメリットは全く存在しないのです。

 

 立憲民主党が政党として、尾辻かな子議員の愚行にどう対処するのかが注目点です。もし、何も対処しないというのであれば、立憲民主党は情報管理がいい加減で他人の重要機密情報を管理する資格はないと断言できると言えるのではないでしょうか。