NHK は「苫小牧支局の男性記者がシカ撃ち時の規則等を遵守していたのか」という点を調査・公表すべきだ

 北海道・苫小牧でシカ撃ち(=ハンティング)のため林道に入り、立ち往生した NHK 苫小牧支局の記者から救援要請に向かったロードサービス会社の従業員が二次災害で亡くなるという痛ましい事故が発生しました。

 NHK は他人事のようなコメントを発表していますが、これで幕引きとはならないでしょう。なぜなら、事故のきっかけを作った NHK の男性記者(27)が狩猟者として守るべきことを怠っていた可能性があるからです。

 

 苫小牧署の調べによると、死亡したのは同社従業員で千歳市勇舞の筒井智寛さん(28)。救助されたのは、同社従業員で千歳市勇舞の有路将規さん(36)と江別市野幌町の嶋崎純一さん(42)、苫小牧市表町のNHK苫小牧支局記者横山寛生さん(27)。

 同署などよると、1日午後5時15分ごろ、「道に迷っている」とロードサービス会社の従業員から110番通報があり、警察や消防、災害派遣要請を受けた自衛隊などが捜索に当たった。

 「不要不急の外出は控えるように」と呼びかけているマスコミが不要不急の用事で外出し、立ち往生。救助を依頼されて現場に向かった人々が立ち往生し、1人が亡くなったのです。

 視聴者向けに呼びかけを行うのであれば、従業員の教育を徹底するべきでしょう。マスコミの無責任さが浮き彫りになった事案だと言えるはずです。

 

1:NHK 苫小牧支局の記者が立ち往生したのは国有林

 まず、立ち往生が発生した現場は国有林であることは林野庁・北海道森林管理局胆振東部森林管理署が公開している資料(PDF)から確認が可能です。

画像:事故現場の位置関係

 NHK の記者は国有林で「シカ撃ち」をしようとして、立ち往生をしたと言えるでしょう。より具体的な位置は銃猟入林禁止図(PDF)で示された苫小牧市の『1169』に該当するエリアです。

 もちろん、許可を得ていれば、違法ではありません。ですが、「NHK 苫小牧支局の男性記者(27)は規則に基づき行動していたのか」という点で疑問が残る状態なのです。説明を果たす責務が NHK にはあるのです。

 

2:NHK は「記者が注意事項を遵守していたのか」の説明責任を果たすべき

 エゾシカの食害が問題となっている北海道では狩猟による対策が行われます。国有林にも狩猟目的で入林することは可能ですが、その際の注意事項が北海道森林管理局より公表されています。

 苫小牧エリアを管理する胆振東部森林管理署も例外ではなく、注意事項(PDF)を公表済です。その中で注目すべきは次の項目でしょう。

  • 狩猟者の皆さんへ
    1. 事故等があった場合は速やかに警察署及び森林管理署又は、最寄りの森林事務所に連絡して下さい
  • 狩猟入林の注意事項
    1. 入林の際は必ず入林承認証を携行して下さい。
  • 林道通行上の注意事項
    1. ゲート及び施設物等を破損した入林者は、法律によって罰せられます。

 NHK の男性記者は入林許可を取得していたのかは不明です。また、現場までの経路も明かされていません。国有林はゲートで施錠され管理されていることが一般的で、強行突破していたのであれば問題です。

 また、事故などが起きた際は速やかに警察・森林管理署への通報を指示されていますが、記者は連絡を怠っているのです。

 これらの点はジャーナリズムを主張するメディアが NHK を取材し、回答させるべき項目だと言えるでしょう。

 

 JR東日本・新潟支社が列車が大雪で立ち往生した際、救援要請を受け付けずにマスコミから批判されました。今なら、マスコミも「なぜ、救援要請を出さなかったのか」という理由を理解できるはずです。

 列車の運行を強行したJR東日本の姿勢を厳しく糾弾したのですから、NHK 苫小牧支局の男性記者(27)の行動も同様に厳しく批判しなければなりません。

 メディアが確認しなければならない事項が存在しているのですから、NHK に調査を要求する声をあげるべきと言えるのではないでしょうか。