メディアや学会が “道徳教育に前川喜平氏を講師として招聘した公立中学校を質した文科省” を批判することはおかしい

 文科省事務次官だった前川喜平氏を総合学習の講師に招いた愛知県の公立中学校に対し、文科省から講義内容を問い合わせるメールが届いていたことが明らかになったと NHK が報じています。

 マスコミや学会は「国の干渉だ」と批判していますが、「前川氏が適任だったのか」という点には言及していません。前川氏を擁護するのであれば、「前川氏が教育者として不適切な行為に手を染めていた実態に対する見解」を合わせて示す必要があると言えるでしょう。

 

 愛知県内の公立中学校で、先月、文部科学省の前川前事務次官が総合学習の時間の講師に招かれ、不登校や夜間中学校などをテーマに授業を行い、全校生徒のほか地元の住民らも出席しました。

 この授業について今月1日、文部科学省の課長補佐からこの学校を所管する教育委員会宛てに内容を問いただすメールが届いていたことがわかりました。

 メールでは、前川氏が天下り問題で辞任したことや、出会い系バーの店を利用していたと指摘したうえで、「道徳教育が行われる学校にこうした背景のある氏をどのような判断で授業を依頼したのか」と具体的に答えるよう記しています。

 

1:前川氏は総合学習(道徳教育)で公立校の講師を務めるに値する人物なのか

 まず、前川氏は以下の3点において公立校で講師を務めるには不適切と言えるでしょう。

  • 文科省の天下り問題に関与
    → 隠蔽や想定問答集を作成
  • 出会い系バーの店を利用
    → 児童買春疑惑(= コンプライアンス的な問題)
  • 加計学園問題での政治的発言

 中立性が重要である公立校で行われた総合学習で政治的発言が目立つ人物が講師として招かれました。しかも、その人物は天下り問題の当事者である上、道徳的にも好ましくない行為をしていたのです。

 そのため、「なぜ、前川氏に講演を依頼したのか」を説明することは学校長の責務です。また、「前川氏に関する上記3点に対し、講演を依頼した責任者である学校長はどのように考えているのか」も明らかにする必要があると言えるでしょう。

 

2:塚本幼稚園での『愛国教育』を「教育の自由だ」と主張していた者にのみ、前川氏の講演を擁護する資格がある

 次に、前川氏の講演を「教育の自由だ」と擁護する人々がいますが、ダブルスタンダードになっていないかを確認する必要があります。

 教育の自由を掲げるのであれば、森友学園系列の塚本幼稚園で行われていた『愛国教育』も容認していたはずだからです。塚本幼稚園では園児たちが教育勅語を暗唱していましたし、これを「戦前を彷彿させる教育」として批判していました。

 「私立である塚本幼稚園の(右派的な)教育内容は批判するが、公立での(左派的な)教育内容は容認する」という姿勢は完全な二重基準なのです。

 中立性が求められる公立校では左右・党派に関係なく、政治性はすべて排除されるべきです。ところが、左派が『教育の自由』を反国家・反政権にのみ適用し、現場で好き勝手にやっていることが問題となっているのです。

 

3:『敗戦利権』を手にした教育現場で左翼活動が暴走していることが問題

 NHK に出演した日本大学の広田照幸教授は「行政が必要以上に学校をコントロールすることになりかねない」と懸念していますが、実態は逆でしょう。教育現場での左翼活動の暴走に歯止めがかかっていないことが現実なのです。

画像:NHK News7 に出演する広田教授

 学会を含む教育現場は『敗戦利権』を手にしました。敗戦により、財閥や(軍事)政権は力を削がれましたが、メディアや学会・教育現場の統治体系は維持され、政権からの干渉を『自由』の理由に大きな裁量権を手にしたのです。

 『自由』があるなら、行動したことに対する『責任』も伴うはずですが、それが機能していないのです。極左過激派が大学の校内をアジトとしていても放置・黙認していますし、「 “特定の思想” に固まった教育で子供たちを洗脳することが問題である」という考えが先の大戦での反省点であるはずです。

 反政権運動という “特定の政治思想” を野放しにしていることこそ、教育界の怠慢と言える行為でしょう。

 

 もちろん、文科省の対応に問題があることは否定できません。違法である天下り問題の責任者を処罰や刑事告訴することなく辞任を認めたことが発端です。

 違法行為に “お目こぼし” をすれば、処分を免れた人物は図に乗ることでしょう。その “ツケ” を払っている状況なのです。

 過度な介入は批判を招きますが、その芽を摘み取ることを怠ったのは文科省の対応です。まずは粛々と前川氏の刑事責任を問い、上層部に忖度しないという姿勢を世間に示すべきと言えるのではないでしょうか。