毎日新聞、牧太郎氏が「新聞への軽減税率適用反対」と主張したコラムの掲載を拒否?

 毎日新聞の夕刊にコラムを掲載していた牧太郎氏が「コラム最終回の内容が掲載不可と言われ、ボツになった」と主張しています。

 「新聞への軽減税率適用は反対」を明確に訴えるコラムだったと牧氏は述べています。牧氏の主張内容が事実であるかを毎日新聞は明らかにする必要があるでしょう。

 なぜなら、「毎日新聞が “守るべき価値のある報道機関” であるか」が浮き彫りとなるからです。

 

 ところが、最近、新聞が「権力」になってしまったように思うのです。

 新聞業界は消費増税にあたって「購読料金の軽減税率」を求めています。活字文化の維持、普及のために、新聞は食料品などの生活必需品と同じような扱いを受けるべきだ!という主張です。知る権利を守るために……という理由は分からないではないのですが、この主張は「税の不平等」に繋がるのではないでしょうか?

 多様性を重んじる新聞社が “ボツ” にするほどのコラムとは言えないでしょう。牧氏にとっては「コラムの最終回」ですし、新聞社にとっては “耳の痛い” 指摘内容だったとしても掲載することに意味があるのです。

 毎日新聞は言論機関としても価値を放棄した可能性がある訳ですから、牧氏の主張内容が正しいものかの見解を表明すべきと言えるはずです。

 

「毎日新聞からの書き換え要求」と「それに対する牧氏の反論」

 毎日新聞は提出されたコラムに対し、「以下の2点で修正を要求してきた」と牧氏は主張しています。

  1. (牧氏の)コラムは(毎日新聞の)社説と正反対である
  2. 「新聞が『権力』になったと思う」との “前フリ” をした後で、新聞社自身が『権力』を行使したり、 権力(=政権)に働きかけて政策を動かそうとしているとの印象を読者に抱かせる。これは事実に反し、根拠なき 批判を招きかねない

 この毎日新聞側の主張に対し、牧氏は「コラムは社説とは異なるものであり、社説に反対する意見にも柔軟な姿勢を見せることが “民主主義の新聞” ではないでしょうか」と真っ向から反論しています。

 2つ目の主張には「『軽減税率』を求めた結果、新聞が政権与党に与して安倍一強の政治状況を作っている」と批判する人の存在をあげ、“最大の懸念事項” と述べています。牧氏のこれらの反論は新聞業界の “痛い所” を突いたと言えるでしょう。

 

『営業』を優先するか、それとも『言論の自由』を優先するか

 軽減税率の適用をめぐり、新聞社は選択を突きつけられているのです。

  • 言論の自由:「反権力」の姿勢で構成された紙面内容
  • 営業:軽減税率の適用による売上・収益の維持

 特に、『政府との対決姿勢』で紙面を作ってきた新聞社は岐路に立たされることになりました。なぜなら、反権力を主張する一方で自分たちは『権力』を使い、軽減税率の適応対象という「税の不平等」による恩恵を享受する側に回ろうとしていることが明らかになったからです。

 税免除という特別待遇を要求し、政権側に飲ませている時点でマスコミは『権力者』なのです。自分たちだけが “甘い汁” を吸おうとする立場を確保することに必死なっている機関にジャーナリズムなど存在するのかが怪しいところです。

 

 少なくとも、『反権力』を標榜するのであれば、政権側に「軽減税率の適応」を申し入れた『権力側のメディア』に対して批判の声をあげるべきでしょう。

 「政権という権力の暴走を監視することがマスコミの役割である」と堂々と宣言する新聞社が存在しない時点で、新聞が掲げる『反権力』は欺瞞であることがさらされました。

 言論の多様性を認めず、自らは軽減税率の適応対象になろうとする毎日新聞は “守る価値のある言論機関” とは言えないのではないでしょうか。