女子世界卓球で「大会トーナメント開催中に結成された合同チームが参戦」という前代未聞の出来事が起きる

 スウェーデンで行われていた卓球の世界選手権(女子・団体)で大会開催後に『合同チーム』の結成が容認され、試合が行われたことを NHK が報じています。

 明らかに前代未聞の出来事であり、国際卓球連盟(ITTF)の対応は論外と言えるでしょう。『合同チーム』の初戦となる準決勝で日本代表チームがストレートで相手を下したことは高く評価できるはずです。

 

 日本の女子は4日、準決勝で前日に急きょ結成が決まった韓国と北朝鮮の合同チームと対戦しました。

 大会期間中に合同チームが結成されるのは極めて異例で、大きな注目を集めるなか行われた試合で、日本は1人目の伊藤美誠選手が持ち味のテンポの速い攻撃で韓国の選手を相手にポイントを重ねて、ゲームカウント3対0のストレートで勝ちました。

 「『合同チーム』を結成すること」は問題ではありません。「『合同チーム』を結成したタイミング」が問題なのです。

 なぜなら、大会期間中で試合を行っているにも関わらず、エントリー条件の変更が認められるという行為がスポーツマンシップに反する行為と言えるからです。

 

卓球世界選手権2018(女子団体)のトーナメント表

 大会フォーマットは「5ヵ国ごとに4グループを作り、各グループの上位3チームが決勝トーナメントに進出」というものでした。

画像:卓球世界選手権2018(女子団体)のトーナメント表

 韓国は1位通過したため、準々決勝から登場。北朝鮮は決勝トーナメント1回戦でロシアを下し、準々決勝に駒を進めたことで韓国との対戦が決定しました。

 ところが、準々決勝で韓国対北朝鮮のカードが決まると、両国は対戦せず、「『合同チーム』を結成して準決勝に臨む」と発表したのです。フェアプレーもスポーツマンシップもない行為と言えるでしょう。

 『合同チーム』を作るなら、大会エントリー時点でそのように申請しておくべきです。大会期間中にチームエントリーの変更が認められること自体が競技の公平性が確保されていないことと同じと言えるでしょう。

 

「韓国と北朝鮮の両国が仲良くメダルを獲得」というストーリー

 韓国の思惑は「韓国と北朝鮮が仲良くメダルを獲得」というものです。グループを1位抜けする実力を持った韓国(=ムン・ジェイン政権)が北朝鮮に “大きな配慮” を示したと言えるでしょう。

画像:卓球世界選手権2018(女子団体)の表彰式

 日本にストレートで敗れましたが、韓国が北朝鮮を敗退させるという事態を避けることはできました。

 北朝鮮に忖度するムン・ジェイン大統領にとっては「満足できる結果」を手にしたと言えるでしょう。南北首脳会談によって 83% もの支持率を得た手前、北朝鮮の機嫌を損ねるなど絶対にできないことだからです。

 

「真剣勝負を放棄すること」は八百長に該当する

 韓国と北朝鮮は『世界選手権』という舞台で真剣勝負を放棄したのです。この行為は八百長に該当するものであり、本来であれば処分の対象となるべきものです。

 しかし、国際卓球連盟は「処分」どころか、大会期間中の『合同チーム』発足を許可したのです。

 これでは卓球が国際化することは難しいと言えるでしょう。どのスポーツでも八百長が疑われる行為はタブーとなっており、トーナメント戦を放棄するという判断をすることはありません。

 トーナメントの組み合わせや日程を踏まえ、予選で温存策を採ることはあります。ですが、“敗けたら終わりのトーナメント” で試合を拒否し、『合同チーム』で両者ともに勝ち上がりが許されるという行為が問題なのです。

 また、「『合同チーム』に配慮して、勝ちを譲れ」などという意見を述べる人物がいるなら、スポーツのことを何も分かっていない “どアホ” と言えるでしょう。

 

 大会期間中に結成された『合同チーム』に対し、空気を読まずに実力を出し切った日本代表チームの精神力は高く評価されるべきです。大会期間中に平然とルールを曲げるような行為には厳しい批判を向ける必要があると言えるのではないでしょうか。