国民民主党の設立に至る “姑息な経緯” を問題視しないマスコミの忖度は目に余る

 ゴールデンウィークが明けると野党再編が起き、『国民民主党』が発足しました。

 ただ、その設立に至った経緯は非常に姑息なものであったことを知っておく必要があるでしょう。なぜなら、「政治とカネ」をめぐる動きが行われていたからです。

 

国民民主党が誕生するまでの時系列

 『国民民主党』が発足に至った時系列は以下のとおりです。

画像:国民民主党が誕生するまでの時系列

 「『希望の党』に所属する議員が『民進党』に合流し、『国民民主党』に名前を変えれば済む」と考える人が多いでしょう。

 しかし、実際には『国民党』という政党が5月7日の1日だけ存在し、その後に『民進党』から『国民民主党』に名称を変えた政党に合流しているのです。

 これは「政党助成金を最大限に受け取るための露骨な手段」であり、「政治とカネ」に敏感なマスコミは批判の声をあげるべきと言えるでしょう。

 

『分派』ではなく、『分党』を選択した理由

 「他の政党に合流したい」と希望する議員(や議員の集団)が所属政党を離れることは『分派』という扱いになります。

 『分派』の場合、所属政党を離れた議員に政党助成金は交付されません。つまり、『希望の党』に所属する議員が『分派』という形で『民進党』に合流しても、政党助成金は受け取れないのです。

 そのため、『分党』が採択されました。『分党』であれば、分党後の所属議員の割合に応じた政党助成金を受け取ることが可能です。

 したがって、『旧・希望の党』に所属する議員は『分党』を決断し、5月7日に行動を起こしたのです。

 

“新党” を経由することで比例選出の議員が移籍できる

 比例選出の国会議員は “選挙で競合した政党” に移籍することはできません。(国会法第109条2

 しかし、『国民党』は「選挙に出ていない新党」ですから、他党と選挙で競合したことにはなりません。そのため、『希望の党』の議員が『国民党』に所属することで、この制約から逃れることが可能になるのです。

 ただ、『民進党』は前回の総選挙に候補者を擁立していませんので、この規定に抵触はしません。したがって、『国民党』の設立は「比例選出議員への配慮」と言うより、「政党助成金のため」という比率の方が大きいと言えるでしょう。

 

 民主党政権時に溜め込んだ「政党助成金」と「地方組織』を手にすることができるますし、『民進党』と『希望の党』に所属していた議員に応じる形で新たなに「政党助成金」を手にすることができるのですから、上々のスタートを切ったと言えるはずです。

 ただ、パフォーマンス型の野党路線を貫くのであれば、党勢はすぐに失速することになるでしょう。

 野党議員の “姑息な動き” にはメディアが最大限の忖度をしてくれるため、一定の有権者は付いてくると期待できます。その反面、ネットで情報を収集・精査できるスキルを持った人々からの反感を買うことになりますので、野党に期待するマスコミほど与党と同じ基準で野党を批判する必要があると言えるのではないでしょうか。