週刊文春、毎日新聞の社内で大量のセクハラが発生していたとのアンケート結果を報じる
週刊文春が2018年6月14日号で「毎日新聞セクハラ調査が酷すぎる」との記事を掲載しています。
財務省次官によるセクハラ問題で厳しい批判をしていたマスコミですが、女性記者に対してセクハラをするのは上司や先輩の方が圧倒的に多いとの結果が次々に出ているのです。MeToo 運動の批判を受けるのはマスコミ自身と言えるでしょう。
結果は五月中旬、労組の機関紙で詳報された。
それによると、何と女性社員の七八・六%、男性社員の二十・二%が「セクハラを受けたことがあると思う」と回答したのである。
「支局時代に警察官からセクハラを受けるというのはよく聞く話ですが、問題なのは、セクハラを受けた相手で一番多いのが、社内の先輩や上司だったことです。ある幹部は、『俺のことを書いている人は、いないだろうな』と戦々恐々としていました」(男性社員)
別に驚くことではないでしょう。なぜなら、社内での優越的な立場を利用してセクハラをする人物が多いことは別の調査でも明らかになっていたからです。
それが毎日新聞の労組が実施したアンケート調査でも示されただけに過ぎないと言えるでしょう。
「取材対象者からのセクハラ」は「社内でのセクハラ」を隠蔽するためのスケープゴート
なぜ、マスコミが「取材対象者からのセクハラ」を大きく取り上げるのか言うと、社内で発生しているセクハラから注意を逸らすためです。
大阪国際大の谷口真由美准教授が行った調査で、女性記者がセクハラを受ける相手は次の割合であると報告されており、毎日新聞も記事にしているのです。
- 社内の上司や先輩:40%
- 出演タレントや他社の記者:29%
- 警察・検察関係者:12%
- 国会議員ら政治関係者:12%
- 官僚を含む公務員:8%
取材対象者より、人事権など社内で権力を持つ上司や先輩からのセクハラの方が明らかに深刻です。“嫌がらせ” という言葉上の定義にも該当する訳ですから、対策に消極的な姿勢は大きな問題と言えるでしょう。
文春が報じた毎日新聞社内でのセクハラ行為
週刊文春は「毎日新聞社内でのセクハラ行為には以下のものがあった」と伝えています。
- セクハラ行為を相談した上司からセクハラ行為を受ける
- 上司に性的なこと(=「どんな体位が好きなの」など)を言われる
- 毎晩、執拗に2人切りの食事に誘われる
- 「好き」、「連れ回したい」などとの手紙やメールが既婚者から送られてくる
- 「先輩から強姦被害を受けた」と女性からの申告があった(労組担当者談)
「誤解」で済むレベルではなく、いずれの行為も「セクハラ行為」として『研修』で取り上げられるものばかりです。
セクハラ行為に対する認識が甘かった 20〜30 年前の出来事が批判されているなら、同情の余地はあるでしょう。しかし、「セクハラ行為を受けたことを相談した社員に対し、相談を受けた上司がセクハラ行為に至っている」との指摘があるのですから、致命的と言わざるを得ません。
セクハラに対する研修を受けるべきなのは財務省の官僚ではなく、新聞社などマスコミ関係者全員であるべきと言えるでしょう。
毎日新聞は「人のふり見て我がふり直せ」
「人のふり見て我がふり直せ」という言葉を念頭に置いた行動をマスコミは起こさなければなりません。なぜなら、セクハラ事案で求められている姿勢そのものを示しているからです。
MeToo 運動を振りかざし、マスコミは官僚を批判して来ました。しかし、実態はマスコミの方(=上司や先輩)が女性記者や社員に対するセクハラ行為に手を染めていたのです。
自浄作用を持ち合わせていることを証明できなければ、これから半永久的に「セクハラ問題」で叩かれ続けるでしょう。
しかも、攻撃は主にネット経由になると予想されます。ネットは誰でも情報発信ができるため、被害経験者やその関係者がマスコミの “痛いところ” を的確に突いてくることが想定できます。
その結果、報道機関としての信用を落とすことになる訳ですから、対策に消極的な姿勢は悪影響を及ぼすことになるのです。
自らの振る舞いを棚にあげ、他者に対してのみ糾弾する姿勢は反感を招く原因となり、大きな “しっぺ返し” を受けることになるとマスコミは自覚する必要があると言えるのではないでしょうか。