新潟県知事選での野党候補の公職選挙法違反を追求しないマスコミは如何なものか

 6月10日に投開票が行われた新潟県知事選挙で公職選挙法違反がありました。

 その件に対する懲戒処分が行われたと毎日新聞が報じていますが、不正に対する追求があまりに静かなのか奇妙なことと言えるでしょう。「野党系候補の陣営による不正行為は世間に知られないように極力小さく扱う」との “裏マニュアル” が存在するでしょうか。

 

 今月10日に行われた新潟県知事選で、同県柏崎市の市立保育園の20代女性保育士が、園児に野党系候補の池田千賀子氏(落選)を応援するポスターの作製を手伝わせたとして、同市は20日、同保育士と許可した園長を減給10分の1(1カ月)とするなど計7人を懲戒処分にしたと発表した。

 (中略)

 自治労県本部から池田氏応援の文書を作成するよう依頼されたことを受けたもので、池田氏の選挙事務所に飾られた。園児に選挙応援が目的とは説明していなかったという。

 毎日新聞による記事の中にも読者の誤解を招く表現が存在することは問題です。

 選挙運動の経験がない一般人が正しい認識を持っていないことは普通のことです。しかし、「正確な情報」を伝えることを生業としているメディアが誤解を招く書き方をしている時点で大きな問題と言えるでしょう。

 

市民からの問い合わせで問題が発覚

 新潟県知事選の野党系候補だった池田千賀子氏を応援するポスターは5月16日と17日に作成され、同月20日の事務所開設式で掲示されていたことは選対本部長を務めた菊田真紀子議員(衆院・無所属の会)のツイートからも確認することが可能です。

画像:菊田真紀子議員(衆院・無所属の会)

 該当のポスターは「池田氏を取り巻く顔やチューリップの花に見立てた手形が描かれたもの」で、自治労・新潟県本部が作成をしたものでした。

 どういったポスターを作成するかは各陣営の自由です。しかし、『制約』が存在しており、「池田陣営はその制約に違反しているのではないか」との問い合わせで問題が発覚したのです。

 

未成年者を選挙運動に使うことは公職選挙法違反

 今回、池田氏陣営が指摘されたのは「未成年者等の選挙運動の禁止」です。これは『公職選挙法第137条の2』で以下のように記されています。

第百三十七条の二 年齢満十八年未満の者は、選挙運動をすることができない。
 何人も、年齢満十八年未満の者を使用して選挙運動をすることができない。ただし、選挙運動のための労務に使用する場合は、この限りでない。(選挙権及び被選挙権を有しない者の選挙運動の禁止)

 選挙運動とは「特定の選挙において、特定の候補者の当選を目的とし、投票または投票させるための直接・間接に必要かつ有利な行為」とされています。

 今回の件は、柏崎市の市立保育園に務める保育士(= 公務員)が園児に選挙用ポスターを作成させました。つまり、18歳未満の者を使った選挙運動を行った訳ですから、公職選挙法違反なのです。

 

「選挙応援が目的」と事前に説明しても、園児を使った時点でアウト

 毎日新聞は「園児に選挙応援が目的とは説明していなかったという」と書いていますが、事前に目的を説明してもアウトです。なぜなら、「18歳未満の者を使用した選挙運動に該当する」という事実は変えられないからです。

 『市立保育園』は中立性が求められるから、特定候補を応援する場合は「事前に通告していれば問題ない」とでも考えているのでしょうか。

 だとすれば、大きな問題です。園児を選挙運動に動員すれば、『公立保育園』であれ『私立保育園』であれ、公職選挙法の規定に抵触するのです。根本的な違反行為であることを分かりやすく紙面で報じるべきだと言えるでしょう。

 

 選挙期間中に報じた問題ですが、マスコミは報道を自重しました。「公平性を保つ」という点では理解できなくもないのですが、池田氏陣営の責任は追求されているのでしょうか。これでは野党系候補なら、「選挙違反はやりたい放題」になってしまいます。

 柏崎市は該当の保育士らに「公務員の信用を失墜させた」との理由で懲戒処分を下しました。その一方で、ポスター作成を依頼した民主党系の政党を応援する自治労は野放しのままです。

 罰則が科されないのであれば、同様の違反行為を平気で依頼する自治労の地方本部が出てくることでしょう。明らかな違反行為に対し、法律の罰則を公平に適用することが “真っ当な政治” なのではないでしょうか。