ロシアW杯・セネガル戦の試合展望
6月19日に行われたロシアW杯コロンビア戦に日本代表は 2-1 で勝利し、勝点3を獲得しました。
2戦目となるセネガル戦は24日(日)にエカテリンブルクで行われる予定であり、どういった試合になるのかを確認することにしましょう。
勝ったチームが決勝トーナメント進出に王手をかける
グループ H は「波乱が起きた組」でした。なぜなら、FIFA ランキングの低い2カ国が共に勝点3を獲得したからです。
チーム名 | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 勝点 | 得失 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 日本 | 1 | 1 | 0 | 0 | 3 | +1 |
1 | セネガル | 1 | 1 | 0 | 0 | 3 | +1 |
3 | コロンビア | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | -1 |
3 | ポーランド | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | -1 |
1戦目を 2-1 で勝利した日本代表とセネガル代表が2戦目で激突する日程です。勝利したチームは勝点6に到達するため、ポーランド対コロンビアが引き分けに終わった時点で決勝トーナメント進出が決定します。
グループ突破を考える上で、勝点を獲得したい試合であると言えるでしょう。
セネガル代表の基本戦術
セネガル代表の基本的なチームコンセプトは以下のとおりです。
- ブラックアフリカンの身体能力を活かしたチーム
- アフリカ勢の欠点だった「規律」と「献身性」を兼ね備える
- 肉弾戦と消耗戦で強さを発揮
アフリカ勢と言えば、お家騒動による自滅が代名詞でした。ビッグクラブで主力とする選手がいる一方、チーム(=組織)として機能せず。自滅に近い形で大会から去ることになったチームがほとんどです。
ただ、大会に1チームほどの割合で組織的なプレーで大会を魅了するアフリカ勢が存在します。今大会ではセネガルがそのチームに該当すると言えるでしょう。
ポーランド戦で見せたセネガル代表のプレー
セネガル代表が19日に戦ったポーランド戦の先発メンバーとフォーメーションは下図のとおりです。
4-4-2 を選択し、右サイドでプレーするとの予想があったマネは左サイドを担当する布陣でした。
試合はポーランド代表がボール支配率を高めてセネガルのブロックを崩そうとするも、ゲイェ選手とA・エンディアイェ選手の守る中央は突破できず。サイドからのクロスからチャンスを掴むことが精一杯という状況でした。
一方のセネガル代表はタイプの異なる攻撃陣が前線で躍動。持ち前のフィジカルを存分に発揮し、ポーランドの守備陣を苦しめ続けていました。
「DF と MF が間延びをするため、チャンスがある」との分析がありましたが、ポーランド戦では “ほころび” は見られなかったことに留意する必要があります。
セネガル代表の狙いは「デュエル(≒肉弾戦)による消耗戦」
セネガル代表が持ち込みたい試合展開は『消耗戦』です。フィジカル面で(日本代表に対する大きな)優位性がある訳ですから、「フィジカルの差が勝敗の分かれ目になった」という試合にしたいのです。
接触プレーにおいては圧倒的な差があります。デュエルの発生が極力少なくなる試合プランを用意し、実行に成功したとしても、セカンドボールの奪い合う状況は確実に生じます。
前線でのポストプレーが期待できるディウフ選手やニアン選手を目掛けた浮き球のロングボールでデュエルは否応無しに発生するでしょう。また、裏のスペースにサールが走り込んでも同様です。
「両チームの陣形が間延びする」という状況を自ら作り出す力を有しているだけに、ある程度の消耗戦に巻き込まれることは想定して準備をする必要があると言えるでしょう。
日本代表がセネガル代表に勝つために必要なこと
セネガル戦で勝点を手にするためには以下の点が重要になると考えられます。
- 攻撃面
- スペースを意識して攻める
- 攻撃の縦パスを入れた後は速いテンポを維持
- 2人目、3人目がサポートする形で連動
- 守備面
- 「デュエルは不可避」との意識を持つ
- 相手攻撃陣の特長を踏まえたポジショニングをする
- 最後まで走り切る
相手の方がフィジカル(体格の良さや走力)で優れている訳ですから、持久力がなければ勝負になりません。1対1では劣勢になるため、攻守において2人目・3人目の選手がどれだけサポートできるかが鍵でしょう。
セネガル代表の攻撃陣は基本的に「FW 任せ」です。ボール奪取に優れた中盤を擁しているため、クリアボールを回収し、FW に預けて波状攻撃という形が得意パターンです。
ただ、周囲とのコンビネーションで相手守備網を破壊できるのはマネ選手だけですので、“我慢比べ” に耐えることができれば、勝点3を手にする可能性は十分にあると言えるでしょう。
セネガル戦は24日(日)に行われますが、中3日でポーランド戦が28日(木)に待ち構えています。消耗戦で疲弊すると、最後のポーランドに影響が出るということも見落とすべきではありません。
試合状況に応じて「割り切ること」が必要となるだけに、西野監督がどのような準備をしてセネガル代表との一戦を迎えるのかが注目点と言えるのではないでしょうか。