日弁連がオウム事件の死刑執行に対する抗議声明を発表、政治活動は強制加入団体ではなく任意加入団体でやるべきだ

 麻原彰晃こと松本智津夫ら7名の死刑囚に刑が執行されました。これに対し、日弁連(=日本弁護士連合会)が会長声明という形で「死刑廃止を求めている」と NHK が報じています。

 弁護士にとって、強制加入団体である日弁連が政治活動をすることは明らかに不適切です。政治活動をしたいなら、個人または(弁護士のみに加入資格がある)政治団体で行うべきと言えるでしょう。

 

 7人の死刑が執行されたことについて、日弁連=日本弁護士連合会の菊地裕太郎会長は「7人のうち6人が再審請求中で、死刑囚にも十分な弁護権や防御権が保障されるべきであり、再審請求中の死刑の執行は問題がある。国際社会においては死刑廃止に向かう潮流が主流であり、日本を含め、現実的に死刑を執行している国は世界の中では少数になってきている。きょうの死刑執行に対し強く抗議するとともに、改めてすべての執行を停止したうえで、死刑制度を廃止するよう求める」という声明を出しました。

 死刑制度の廃止を求める立場の弁護士が存在することは問題ではありません。

 「弁護士として活動する上で加入が義務付けられた団体のトップが特定の政治的主張を展開していることが問題」なのです。(会員という立場にある)個々の弁護士の思想・信条に関わる分野において主張内容を限定することは問題と言えるでしょう。

 

就任時から「死刑制度廃止の活動をする」と意気込みを語っていた菊地会長

 今回、オウム事件の死刑囚に刑が執行されたことに対する反対声明を出した日弁連の菊地裕太郎会長ですが、会長に就任した2018年2月に「日弁連として死刑廃止の運動を継続する」と宣言しています。

 この姿勢に異を唱えるマスコミが出てこないことは問題と言えるでしょう。

 日弁連は強制加入団体であり、加入しなければ弁護士として活動することはできません。“参入障壁” が存在する上、思想・信条によるフィルタリングまで行っている実態について苦言を呈することがマスコミの責務です。

 メディアからの苦言でも日弁連が政治活動を止めないなら、“弁護士自治” にピリオドを打つべく政治が介入すべき案件になるのです。

 

政治活動は「個人」か「弁護士で構成された政治団体」でやるべき

 日弁連は政治活動を行うべきではありません。政治活動をしたいのであれば、弁護士個人で行うか、弁護士で構成された任意の政治団体で行うべきです。

 日弁連の役割は「加入する弁護士のクオリティーを保証すること」です。

 ところが、強制加入団体である性質を一部の弁護士が悪用し、(自身が賛同する)政治的な活動を支援する声明を出す状況が続いているのです。これは本来の役割と異なる点であり、是正を要求する必要があると言えるでしょう。

 『公私混同』は世間で批判されることです。政治活動を行う日弁連は明らかに公私混同をしている訳ですから、マスコミや政治など他方面から批判を向ける必要があるはずです。

 

「死刑」には反対するが、マスコミや野党による「私刑」には反対しない日弁連

 日弁連はヨーロッパのリベラルが主張する「死刑廃止」の運動に賛同し、“名誉白人” として振る舞いたいだけでしょう。

 ヨーロッパは「死刑には反対」していますが、事件現場で「警察官などが犯人を射殺」しています。裁判で最高刑が科される可能性が極めて低い犯人であってもです。

 全体を見ない死刑廃止など「単なる欺瞞」と言わざるを得ません。

 また、死刑廃止を訴えるのであれば、法的根拠すらない状況で一部のメディアや野党が行う『私刑』に対しても、「断固反対の声明」を出すべきでしょう。法に基づき執行された内容に罵声を浴びせるような輩が『私刑』を求刑した上、自らが執行人として傍若無人に振舞っているからです。

 日弁連の姿勢は「そのような狼藉者と同質」と見なされてしまっている現状です。政治活動をやりたいなら、任意加入の政治団体で思う存分やるべきであり、強制加入団体が政治活動を行う現状は是正されても止むを得ないと言えるのではないでしょうか。