テレ朝、安田純平氏と見られる男性が「韓国人です」と言及した映像を意図的にカットしたことを認める

 マスコミが “都合の悪い情報” を平気で編集していた実態がまたも明らかになりました。

 シリアで武装勢力に拘束された疑いが強い安田純平氏と見られる男性が助けを求める映像が7月31日に公開されたのですが、そのニュースを伝えたテレビ朝日が「意図的に男性の発言を編集していた」と認めたからです。

 これは「編集」として容認できる一線を越えていると言えるでしょう。

 

テレビ朝日は「韓国人です」と言及した部分を器用に編集した

 安田純平氏と見られる男性が公開された映像の中で言及したのは以下の内容です。

 わたしの名前はウマルです。韓国人です。きょうの日付は2018年7月25日、とてもひどい環境にいます。今すぐ助けてください。

 特に、編集する必要のない文言でしょう。差別的な主張や政治的な主張も含まれておらず、「ウマル」という名の韓国人男性が助けを求める内容だからです。

 ところが、テレビ朝日を始めとする一部メディアは「韓国人です」と言及した映像部分を意図的にカットし、日本人の安田純平氏であるとの印象を持たせようとしたのです。これは視聴者を欺く行為であると言わざるを得ません。

 放送内容に対し、BPO が是正勧告を出す必要のある内容と言えるでしょう。

 

テレビ朝日による “苦しい弁解”

 拘束された男性の映像はネット上でも公開されているのですから、テレビ朝日の “お手盛り編集” はすぐに発覚し、批判を呼ぶことになりました。これに対し、安田氏の妻が記者会見を行ったニュースを伝える際に次のように弁解したのです。

ナレーション:ANN では安田さんが映像で「自分が韓国人である」と発言している部分について、発言の意図が不明なことや安田さんに危害が及ぶ可能性があることから放送を控えてきた。ただし今回、安田さんの妻が会見で発言内容に言及したため、放送することにした。

 この釈明は無理があります。まず、「発言の意図が不明」と主張するなら、「韓国人です」との部分だけに信憑性の疑いを生じさせることは不適切です。なぜなら、「ウマルと名乗った部分」や「今日の日付は2018年7月25日」といった前後の発言内容にも疑義が生じるからです。

 「韓国人と言った部分は意図が不明だが、他の発言内容は問題ない」と公開された映像から判断することはテレビ朝日による印象操作と言わざるを得ません。

 また、「危害が及ぶ可能性がある」と言っていますが、日本国内向けの放送で「韓国人です」と述べる映像を流したとして、誰が安田氏と見られる(シリアで拘束中の)男性に危害を加えるのでしょうか。明らかに無理のある弁明と言えるでしょう。

 

「安田純平氏が韓国籍だった場合、韓国人への風当たりが強くなることを懸念した」と素直に述べた方がマシ

 テレビ朝日は「安田氏と見られる男性が本当に韓国籍だった場合、日本の税金で韓国人を助けたことによって韓国への風当たりが強くなることを懸念し、放送を見送った」と認めた方が反感は少なかったでしょう。

 ですが、今回の映像は余計な編集は不要です。そのため、放送で使うのであれば、次のような形にすべきでした。

  • 公開された映像から「韓国人です」の部分を切り取らずに流す
  • 「安田純平氏の映像と思われるが、発言内容には疑義が残る」と注釈を述べる
    • 「ウマル」と名乗った部分
    • 「韓国人です」と宣言した部分
    • 映像が撮影された日時の信憑性
  • 「日本人の安田純平氏」の救助と「韓国籍の男性」という両面での対処が求められる状況であるとの認識を示す

 『報道機関』であるなら、上記の対処は公開された映像を自社がニュースとして報じるまでの間に決定していることでしょう。極めてオーソドックスな内容に基づくものだからです。

 このような報道姿勢を示すどころか、「日本政府が保護責務を負う必要のない第三国にいる韓国籍の人物に対する救助に奔走すべき」などとの内容の放送をすることは極めて重大な問題です。本来であれば、BPO が厳しく断罪すべき案件ですが、“仲間内の案件” としてお目こぼしをすることでしょう。

 

 こうした特定の界隈に肩入れすることが報道不信を招いているのです。報道機関は「自称」であり、平気で事実を捻じ曲げて世論を誘導しようとしているという実態を頭の片隅に置き続けておく必要があると言えるのではないでしょうか。