ドイツ・メルケル首相、難民を巡る本国送還の迅速化に向けた取り組み強化を表明

 ロイター通信によりますと、ドイツのメルケル首相が受け入れを拒否した難民に対する本国送還を迅速化する取り組みを強化すると表明したとのことです。

 「難民は無条件で受け入れる」と宣言したものの、右派や保守系から懸念されていた事態が現実問題となり、方針変更へと追い詰められました。日本で一部の在日活動家が起こしている “問題” がこれからドイツで起きると想定されるだけに、ここからが本番と言えるでしょう。

 

 ドイツのメルケル首相は16日、受け入れを拒否した難民を巡る本国送還の迅速化に向け、取り組みを強化すると表明した。首相の難民政策を巡って数百人の極右活動家が首相辞任を求めるデモを行ったことを受けた。

 (中略)

 首相は地元議員との面会後に記者会見で「全ての問題が解決していない状況にあることを明確にしたい。特に本国送還は依然として大きな問題だ」と指摘。「連邦政府は必要書類の獲得支援を中心にさらなる責任を引き受ける」と述べた。

 「治安が良い」との印象が持たれ、統計でも示されている国であっても、一定の割合で無法者は存在します。

 “ごく一部の無法者” を入国させないために入国審査が行われているのですが、メルケル首相はそのフィルタリング機能を無効化させる発言をしたのです。これでは治安が悪化して当然でしょう。

 また、相手国の文化や価値観を尊重しない人物までも容易に入国・滞在ができる訳ですから、様々な分野で “衝突” が起きることは想定ができたはずです。このツケは長期間に渡って支払うことを余儀なくされるはずです。

 

「難民不適合者の排除」に乗り出したドイツ

 メルケル首相が「難民を受け入れる」と宣言した結果、ドイツには “難民には該当しない人物” まで大量に押し寄せました。『難民』と名乗ることで誰でもドイツで生活できるとなれば、自称・難民が大挙して当然です。

 しかも、責任を負う立場にないメディアが『難民』という言葉を使わず、『移民』という表現で統一しました。

 ドイツにやって来た『難民』のほとんどが『密入国者』なのですから、これを『移民』とするのは明らかに不適切でしょう。『移民』は個人としての滞在資格を得た上で合法的な滞在許可を得ています。

 メディアは『移民』の中に『密入国者の自称・難民』まで含めた表現で報じており、これが社会の分断を招く大きな要因になったと言えるでしょう。そもそも、滞在許可が下りない人物にまで在留許可を出す意味がありません

 そのような人物は強制送還が当たり前であり、当然の対処を実施する行政に対して「『移民』を排除しようとしている」と的外れな批判をする左派系メディアや活動家が問題を根深くしている元凶なのです。

 

プーチン大統領から「シリア再建費用の拠出を」と水を向けられたメルケル首相

 ヨーロッパの難民問題はシリア騒乱が発端ですが、アサド政権(シリア)の後継人となっているプーチン大統領が「ドイツはシリアの再建費用を拠出すべき」と述べていると AFP 通信が伝えています。

 プーチン氏は大量のシリア難民について「欧州にとって大変な負担となり得る」「だからこそ、こうした人々を母国に帰すために人事を尽くさなければならない」と語り、難民の帰国の実現のため水の供給や医療といった基本的な社会インフラをきちんと復旧させることが必要だと強調した。

 アサド政権を攻撃し、中東に混乱を招いたのはアメリカ(オバマ前大統領)とヨーロッパ諸国です。そのため、復興支援は出さざるを得ない立場にあると言えるでしょう。

 従来であれば、プーチン大統領からの要請は検討にも値しないはずです。しかし、メルケル首相が引き金を引いた『難民問題』が EU 全体に波及しているため、“難民不適合者” の受け入れ先としてシリアの治安が回復することは大きな恩恵があるのです。

 キリスト教の価値観に基づく文化を尊重しない “イスラム教絶対主義者” までも滞在許可を得てしまっている訳ですから、是正に乗り出す必要があります。『難民』のほとんどはシリア出身であるはずですから、プーチン大統領の提案はメルケル首相にとって悪い話ではないと言えるでしょう。

 

日本政府は「従来どおりの方針」を継続すべき

 ドイツのメルケル首相は方針転換を表明しましたが、安倍首相はその必要がないと言えるでしょう。なぜなら、日本の “従来の方針” にドイツ政府などが近づいてきたからです。

 「密入国や不法滞在を行った者は本国送還(= 国外退去)」とすることは当然ですし、“目こぼし” をすれば正直者がバカを見る結果になります。

 また、滞在許可を求めた訴訟中であっても、退去は実施しなければなりません。IT 技術を使えば、世界中どこからでも裁判に必要な証言映像を得ることは可能だからです。密入国・不法滞在者に税金が費やされている現状は問題あると言わざるを得ません。

 当事国支援については日本政府は早い段階からシリア周辺国(= トルコやヨルダンなど)に対して行っています。そのため、さらなる支援については固辞するべきでしょう。

 なぜなら、シリア騒乱を起こした張本人であるアメリカや EU が積極的な支援をしなければならないからです。この点は明確にしておかなければならない部分なのです。

 

 他国には「見習ったり、参考にすべき点」がある一方、「反面教師とすべき点」も存在するのです。

 メルケル首相の難民政策が「反面教師にしなければならない点」であることは明らかです。社会情勢や経済情勢にマイナス面を与えることが指摘されている政策を安易に真似ないことが重要と言えるのではないでしょうか。