共同通信が事実とは異なる「MOX燃料の再処理断念」とのデマ報道を流す

 共同通信が「MOX燃料の再処理断念」との記事を9月2日付で掲載していますが、「事実と異なる」と当事者である電力事業連合会が指摘しています。明らかな飛ばし記事であり、大きな問題と言えるでしょう。

画像:共同通信の報じた記事に対するファクトチェック

 

■ 共同通信が報じた記事の内容

 共同通信は9月2日付の記事で以下のように報じました。

画像:共同通信が報じた記事

 通常の原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルを巡り、原発を持つ電力会社10社が、一度使ったMOX燃料を再処理して再び燃料として利用するための費用の計上を、2016年度以降中止していたことが2日、分かった。政府は核燃料サイクル政策の一環としてMOX燃料の再利用方針を掲げていたが、資金面での根拠を失い、事実上、MOX再処理の断念となる。

 「資金面での根拠を失い、MOX 燃料の再処理を事実上断念した」と共同通信は報じているのですが、「事実に反する」と当事者が否定しているのです。

 共同通信は「事実と判断した根拠」を示し、再反論をする必要があると言えるでしょう。

 

■ 事実

1:当事者である電力事業連合会が記事を否定

 共同通信の記事に対し、電力会社で構成される電力事業連合会がウェブサイト上で以下の反論を掲載しています。

 2016年10月に施行された再処理等拠出金法では、全ての使用済燃料について、関連事業のための費用を含め、発電時に原子力事業者に拠出させることとするとされており、現時点までに具体的な再処理の計画を有さない使用済燃料の再処理等費用を含む、全ての使用済燃料が拠出金の対象となっています。

 私ども原子力事業者としては、2016年度以降、同法令に基づき適切に拠出を行っており、使用済MOX燃料の再処理を断念した事実はありません。

 エネルギー資源に乏しい我が国にとって、ウラン資源の有効活用、廃棄物の減容・有害度低減等の観点から、プルサーマルを含む原子燃料サイクルは極めて重要であると考えています。

 「 “全ての使用済み燃料” が再処理拠出金の対象」と電力事業連合会は説明しているのです。

 原子力発電所で使用される燃料は『ウラン燃料』と『MOX 燃料』の2つに分類されます。“全ての使用済み燃料” が再処理拠出金の対象ですから、『MOX 燃料』も当然含まれていなければならないと言えるでしょう。

 

2:経産省も「MOX 燃料の再処理」を念頭に置いている

 また、経産省が「MOX 燃料の再処理」を念頭に置いた上で『再処理等拠出金法』を成立させたこと(PDF)を認識しておかなければなりません。

画像:『再処理等拠出金法』の概要

 2016年10月に施行された法案で「MOX 燃料を再処理することが図示されている」のです。こうした資料を無視して、「資金的な根拠を失った」と記事に書く共同通信には大きな問題があると言わざるを得ません。

 共同通信は再反論するか、記事の誤りを訂正し、謝罪する必要があると言えるのではないでしょうか。