「中国への ODA (= 政府開発援助)終了」を決断した安倍政権の方針は評価しなければならない

 NHK によりますと、これまで累計3兆円以上が供与されてきた中国への ODA (= 政府開発援助)が終了を迎える方向であるとのことです。

 この方針を示した安倍政権は高く評価されるべきでしょう。なぜなら、世界第2位の経済大国である中国を日本が支援をする必要性がないからです。

 

 日本の対中ODAは中国が改革開放政策を打ち出した翌年の1979年から始まり、有償資金協力の円借款や無償の資金協力、それに技術協力を通じて、合わせて3兆円以上を供与し、中国の経済成長を支えてきました。

 円借款と金額の大きな無償資金協力の新規供与はすでに終了していますが、日中両政府は今回の安倍総理大臣の中国訪問に合わせて、このほかの無償資金協力と技術協力についても今年度の新規案件を最後に終了することになりました。

 これは当然の流れと言えるでしょう。なぜなら、『世界第3位の経済大国』が『世界第2位の経済大国』を支援することは「適正な税金の支出」とは言えないからです。

 そのため、中国への ODA は終了させる方向に舵を切った安倍政権の姿勢は評価されるべきだと言えるでしょう。

 

『低金利で融資した資金で “サラ金” を営業された金融機関』は「儲けた」と言えるのか

 中国からは「日本も ODA (= 政府開発援助)による見返りを手にしている」との主張がありますが、これを受け入れることはできません。

 なぜなら、中国は『日本から得た ODA の資金』を『途上国への貸付資金』に使っていたからです。つまり、日本という “銀行” から ODA という形で「低金利の融資」を引き出し、それを元手に途上国相手に “サラ金” を営んでいたのです。

 返済できなければ、港湾などの重要施設を差し押さえて来ました。これが中国が推し進めている「一帯一路」の源泉になっているのですから、中国の膨張政策に日本が金銭支援していたと言えるでしょう。

 ただ、儲けの大部分は中国政府の懐に入っているのです。“ワル” が儲けるための資金を提供し続けていただけですから、是正に向けた動きは不可避だったのです。

 

“税金が原資である ODA” の支給先に『世界第2位の経済大国である中国』は不適切

 人々の生活に必要な公共事業を実施するために必要となる資金を持たない国に対し、ODA を実施することを反対する人はいないでしょう。ただ、実施する対象国は適切に選ぶ必要があります。

 なぜなら、実質的な先進国に経済支援をすることは「税金の適切な支出」とは言えないからです。

 安倍政権が「中国への ODA は終了」という方針を明確にしたことは評価しなければなりません。これまでは『前例』に習う形で、ズルズルと関係が続いていました。“悪しき伝統” にピリオドが打たれ、対等な二国間関係に変化させようとしていることは称賛に値するはずです。

 

「人道上の問題を抱えた国に ODA を続けて来た」という実態を放置してきた責任は重い

 日本の歴代政権は中国への ODA を続けて来ました。『人道上の問題』を抱え、『経済発展』が著しくなったにも関わらずです。

 この点においては自民党政権にも民主党政権にも責任があります。もちろん、中国に対する ODA を黙認し続けて来たマスコミも同罪と言えるでしょう。

 「税金の無駄使い」を糾弾しているにも関わらず、「税金の適切な利用」という観点での批判は皆無に近い状態だったのですから、メディアも共犯と言わざるを得ません。その点に触れず、逃げ続ける姿勢は問題です。

 安倍政権は時間を要したとは言え、“悪しき伝統” にピリオドを打とうとしています。このような安倍政権の姿勢は評価すべきだと言えるのではないでしょうか。