東京都が閉場した築地市場で営業を続けた水産仲卸業者2社に業務停止命令 規則を守らない業者は市場から締め出すべきだ

 NHK によりますと、10月に閉場した築地市場での営業を続けた水産仲卸業者2社に対し、東京都が業務停止命令を下したとのことです。

画像:東京都による業務停止命令が出されたことを伝えるNHKニュース

 これは衛生管理を管轄する都として当然のことをしたまでと言えるでしょう。「規則」を守る気がない業者を放置するメリットはなく、『真面目な事業者』や『消費者』が損害を被ることになるのです。

 豊洲市場でも規則を守らない事業者が散見されていますが、今回の件と同様に厳しい姿勢で臨む必要があるはずです。

 

 東京都によりますと、業務停止を命じたのは水産仲卸業者の「ムラキ」と「杉原水産」です。

 都はこの2社に対し条例に基づいて、先月閉場した中央区の旧築地市場から所有物の撤去などの店舗の明け渡しを求めましたが、業者は営業を続ける意向を示し、応じなかったということです。

 都は、この行為が条例に違反しているとして、27日までに2社に対して来月1日から30日間、豊洲市場での業務停止を命じました。

 また都は、一部の業者の従業員で作る「東京中央市場労働組合」に対しても、旧築地市場にあった事務所の所有物を期限までに撤去しなかったとして来月1日から15日間、豊洲市場にある事務所の使用停止を命じました。

 

“コールドチェーンを満たさない築地市場” での営業続行に固執する移転反対派

 豊洲市場に中央卸売市場の機能が移転しましたが、一部の水産仲卸業者がそれに反対し、閉場された築地市場での営業を強行していました。

 このような行為に踏み切る理由は「『築地』のブランドイメージにタダ乗りする側」だったからでしょう。仲卸としての実力が小売店に評価されていたなら、営業場所が豊洲市場に変わっても問題が生じることはありません。

 なぜなら、築地市場で取引された生鮮食品はアメリカやヨーロッパに輸出できないからです。

 アメリカやヨーロッパ(= EU 域内)に生鮮品を輸出しようとした場合、HACCP (ハサップ)と呼ばれるの衛生管理の要件を満たす必要があります。豊洲市場は HACCP の要件を満たしている一方、築地市場は満たすことはできていません。

 食品に「高い安全性が確保されていること」を消費者が求めるのは当然のことです。しかし、一部の仲卸業者がそれを拒否する形で、築地市場での営業を強行しようとしているのですから、市場から追い出されることは当然と言えるでしょう。

 

“衛生管理意識が軽薄で、『築地』のブランドにタダ乗りしている事業者” が『豊洲市場の基準』に文句を言っているだけ

 なぜ、移転反対派が出て来たのかと言いますと、豊洲市場で要求される衛生管理基準を満たすことが重荷と感じる仲卸業者が存在しているからです。

  • 魚の切れ端などのゴミを下水と一緒に流せなくなる
  • 喫煙場所が限定される
  • 通路に荷物を置き、店舗のスペースとして利用できなくなる
  • 「築地に店舗を構える」という “売り” が消滅する

 半世紀以上もルールで営業して来たのです。築地市場は外気に触れる場所での取引が行われており、衛生管理を厳格にする意味がないも同然でした。

 ところが、豊洲市場では『21世紀に要求される衛生基準』を遵守することが不可避です。これを重荷に感じる “老害仲卸業者” が難癖を付けているに過ぎないと言えるでしょう。

 ミシュランの3つ星と同様に、「その仲卸から購入するために行く価値あり」という立場を確立している仲卸業者は豊洲市場への移転は肯定的でしょう。なぜなら、日本国内だけでなく海外にも販路を拡大することが可能になるため、買い手の増加による『売り手市場』を作り出せるチャンスが増えるからです。

 

ルールを守らないフリーライダーは市場から退場させるのが行政の役目

 東京都が規則を守ろうとしない仲卸業者に業務停止命令を下したのは当然の仕事をしたまでです。ゴネ得を狙う一部の事業者に配慮すると、規則を守る真面目な事業者や消費者が損をする形になってしまいます。

 “粗悪品” をマーケットに出荷する意味はありませんし、「低い品質基準のままで良い」と主張する業者は他社の足を引っ張っていることと同じです。

 付加価値を設けることで商品を高く売ることが会社の利益となり、従業員に給与という形で報いることが可能になるのです。付加価値を真っ向から否定する築地市場の存続を訴える一部の仲卸業者の姿勢が生み出すマイナス面は大きいと言わざるを得ないでしょう。

 「消費者に良い商品を少しでも安く提供したい」という仲卸は好感を呼ぶでしょう、しかし、重要なのは「良い商品を少しでも安く提供したい」と言う姿勢であり、「安ければ品質は問わない」という価値観ではないのです。

 豊洲市場への移転反対派は『衛生基準』を軽視する態度・発言を幾度と繰り返しており、後者の姿勢を鮮明にしているのです。これでは実態が知れ渡るほど、世間からの支持を失っていくと言わざるを得ないのではないでしょうか。