立憲民主党・有田芳生議員、日本人の若者の死亡率を無視して「3年で69名の外国人技能実習生が亡くなったことが問題」と批判する

 立憲民主党の有田芳生議員が「平成27年からの3年で69名の外国人技能実習生が亡くなったことは問題」と主張し、『外国人材の受け入れ拡大』に反対しています。

 しかし、日本人の若者の死亡率を下回る数字であるにも関わらず、法案を批判する材料として利用していることは論外と言わざるを得ないでしょう。

画像:有田芳生議員の主張に対するファクトチェック

 

■ 有田芳生参院議員(立憲民主党)の主張

 立憲民主党の有田芳生議員は12月6日に以下のように主張していたと NHK が報じています。

 参議院法務委員会の野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の有田芳生氏は記者団に対し、法務省が作成したとする資料に平成27年から3年間で、69人の技能実習生が死亡した事案が記されていることを明らかにしました。

 (中略)

 有田氏は「私が明らかにしたのは、技能実習生が日本に来て、命を失ったという法務省が調べた事実だ。技能実習制度の総括なしに新しい制度への移行は絶対に認められない」と述べました。

 人が亡くなることは悲劇ですが、寿命があるため、いつかは死が訪れます。そのため、どのぐらいの割合であるかを比較する必要があるのです。

 「3年で69名の外国人技能実習生が亡くなった」ということは「年平均で23名が亡くなった」ことと同じです。これを日本人の平均と比較すると、野党議員の欺瞞さが浮き彫りになります。

 

■ 事実

1:25歳〜29歳の日本人の死亡率は約 0.045%

 厚労省が発表している『子供・若者白書(平成27年版)』で確認すると、25歳〜29歳の日本人人口は667万8000人です。(平成26年10月1日現在)

 25~29歳の死亡数が2894人(平成25年の数値)です。平成26年に3000人が亡くなっていたと仮定すると、死亡率は 0.045% と求めることが可能です。

 ただ、死者数は景気回復や医療進化で減少傾向にあり、3000人を超えることはないでしょう。つまり、この数字と比較しなければ意味がないことなのです。

 

2:「外国人技能実習生の死亡率」は「25歳〜29歳の日本人の死亡率」を大きく下回る

 次に、外国人技能実習生の人数は約23万人であることは厚労省が資料(PDF)で公開しています。

 有田議員が問題視している「外国人技能実習生の死者数」ですが、『25歳〜29歳の日本人の死亡率』から求めると、年間約103名が亡くなっていても不思議ではないのです。
(技能実習生23万人 X 死亡率0.045 = 103.5)

 しかし、技能実習生の死者数は年平均23名です。『25歳〜29歳の日本人の死亡率』の4分の1(= 25%)に満たない数字である点は見落とすべきではないでしょう。

 要するに、「『日本人の25歳から29歳の死亡率』は『外国人技能実習生の死亡率』の4倍」なのです。

 この事実を無視し、外国人技能実習生の置かれた立場の改善に乗り出す野党の姿勢は論外と言わざるを得ないでしょう。また、そうした野党の姿勢に理解を示すマスコミも同罪です。

 

 『日本人の人権や待遇』を “お座なり” にしてでも、『外国人の人権や待遇』を良くしたいと考えている政党・マスコミが白日の下にさらされたと言えるのではないでしょうか。