韓国で発生した KTX 脱線事故、ポイントのケーブル誤接続が1年以上放置されていた可能性が指摘される

 12月8日に韓国・カンヌン(江陵)で KTX が脱線事故を起こしました。

 当初は「寒さ」が脱線の原因と言われましたが、朝鮮日報によりますと「ケーブルの誤接続が1年以上も放置されていた可能性がある」とのことです。つまり、これまで事故が起きなかった理由は「単に運が良かっただけ」と言えるでしょう。

 

画像:朝鮮日報が報じた記事

 韓国鉄道事故調査委員会によると、故障を起こしたポイントと近隣のポイントは昨年9月に設置された当時からケーブルが誤って接続されていたとみられる。調査委は▲昨年9月から2カ所のポイントのケーブルが誤って接続されていた▲江陵線のKTX開通以降、保線作業の過程でケーブルを誤って接続したーーという2つの仮説を立て、調査を進めた。これまでの調査では、前者の可能性が高いという。

 だとすれば、KTX江陵線はポイントに問題があったままで、高速列車を1年間にわたり運転していたことになる。1年間も事故なしで運転できていたことにも疑問だ。現在推定されるのは、2カ所のポイントに対する「停止」「進行」信号が常に一致していたとみられることだ。専門家は「結果的に運がとんでもなく良かった」と指摘する。

 

「開業時からケーブルが誤って接続されていた」という可能性が浮上

 今回の脱線事故ですが、接続されているはずのポイントの通信系統ケーブルが誤って接続されていたことが原因と見られています。

  1. 「A地点のポイントが切り替わっていない」の信号を受信
  2. 作業員が『A地点のポイント』を確認するも、異常は確認されず
  3. 「A地点は問題なし」との報告を受け、KTX が発車
  4. 実際に故障していたのは『B地点のポイント』で、「A地点に接続されているはずの通信ケーブル」が接続
  5. B地点を通過した KTX が脱線事故を起こす

 要するに、運行司令部に上がっているA地点とB地点から情報が通信ケーブルの誤接続で開業当初から入れ替わっていた可能性が高いと調査結果で明らかになったのです。

 “いつかは起きる可能性があった事故” が遂に起きてしまったと言えるでしょう。原因があまりに酷すぎるものと言わざるを得ない状況となっています。

 

安全性を軽視することで「低コストでの社会インフラの運用」を行っている韓国

 韓国の特徴として「安全性が日本ほどに重視されていない」というものがあります。

 日本では時に「過剰すぎる」と言われるほど、安全性への投資が要求されます。最近では「原子力発電所に対する安全要求」がこれに該当するでしょう。

 韓国の場合は逆です。春先になると道路の陥没が起きることが “風物詩” となっていたり、セウォル号の沈没事故のような問題が度々発生します。これらはいずれも「安全に対する投資を怠っていなかったり、安全性を遵守する判断ができていれば防げたもの」なのです。

 しかし、そのコストを負担することを社会が是としていません。これは「運が悪くなければ、それらの事故に遭遇することはない」との思惑を持っている人が多数派であるため、安全性よりも低コストの方が優先されているのだと考えられます。

 

“国民の多数派が損害を被るような大事故” でも起きない限り、韓国の安全性に対する認識は変わらないだろう

 今後の展開ですが、韓国の安全性に対する認識が変わることはないでしょう。

 もちろん、個々の韓国人が身内である “ウリ” と認識しているグループに大きな損害を被れば、認識は変わるはずです。しかし、事故に遭遇したのは “ウリ” ではなく、運に見放された他人である “ナム” に属する人間と見られているのですから、変わりようがないのです。

 「韓国人の約半数が1度に大きな損害を被る事件や事故」に遭遇しないかぎり、韓国人の中で「安全性への投資を怠るべきではない」との見解が多数派を形成することはないと見ておく必要があります。

 つまり、日本人のような観光客であっても、韓国の安全性を軽視したことによる損害を被るリスクがあるのです。事件や事故に巻き込まれる確率は低いことに違いはありませんが、日本で遭遇する確率と比較すると段違いに高いという認識を持っておかなければなりません。

 

 セウォル号沈没事故の原因となったのは「安全性を無視した増築」でした。今回の KTX の脱線事故も、根本的な原因は同じところにあります。

 韓国社会が安全性に対する認識を現時点では変えていないのですから、安全性が軽視されたことが原因の事件・事故は今後も韓国で起き続ける可能性は同程度の確率で発生し続けることでしょう。

 安全性が軽視されている韓国の風潮に対して、親韓派は苦言を呈する必要があると言えるのではないでしょうか。