参院選・大阪選挙区:自民党が2人目の候補者を擁立する博打に走る一方、立憲民主党と共産党も互いに潰し合う構図となる

 2019年夏に参議院選挙が行われる予定であるため、各政党ともに候補者の擁立が決定する流れにあります。

 NHK によりますと、自民党は参院選・大阪選挙区(定数:4)に2人目の候補者を擁立すること決定したとのことです。大阪での党勢が思わしくないことを考えると、良い判断とは言えないでしょう。

 ただ、野党も大阪選挙区では自滅する恐れがある候補者の擁立をしているのです。ある意味で「非常に注目の選挙区」となっています。

 

 自民党は、来年夏の参議院選挙の大阪選挙区に、2人目の候補者として、元大阪府知事で、比例代表選出の太田房江参議院議員を擁立することを決めました。

 定数が4の選挙区に与党が2名の候補者を擁立することは当然の判断と言えるでしょう。

 しかし、大阪の場合は自重する必要があります。なぜなら、大阪は “維新の牙城” であり、既存の国政政党はどこも後塵を拝する特殊な地域だからです。

 

2016年の参院選・大阪選挙区での得票数

 前回、2016年に行われた参院選・大阪選挙区での得票数は以下のとおりでした。

当落 候補者 得票数
1 松川るい(自民・新) 76万1424票
2 浅田均(維新・新) 72万7495票
3 石川博崇(公明・現) 67万9378票
4 高木佳保里(維新・新) 66万9719票
5 渡部結(共産・新) 45万4502票
6 尾立源幸(民進・現) 34万7753票

 自民党から出馬した唯一の候補だった松川るい氏がトップ当選したのですが、4名の当選者の内訳は維新2・自民1・公明1でした。

 60万票を超える得票数を記録すれば当選できるため、2人の候補者を当選させるには120万票が必要になります。ただ、大阪で自民党がそれだけの得票数を集められるかは微妙なところと言わざるを得ないでしょう。

 

「4人目の当選枠」を巡る争いが熾烈になることは確定している

 2019年の参院選・大阪選挙区では「4人目の当選枠」を巡る争いが非常に熾烈なものになるでしょう。現時点で各政党が擁立を決めている候補者は以下のとおりです。

  • 日本維新の会:
    1. 東徹(現・105万票で1位当選)
    2. 擁立を模索中
  • 自民党:
    1. 柳本顕(新)
    2. 太田房江(現・全国比例)
  • 公明党:
    1. 杉久武(現・69万票で3位当選)
  • 日本共産党:
    1. 辰巳孝太郎(現・46万票で4位当選)
  • 立憲民主党
    1. 亀石倫子(新)
  • 国民民主党:
    1. 擁立を模索中

 票読をすると、「維新・自民・公明で1枠ずつは抑える」ことが濃厚です。つまり、大阪選挙区の焦点は「最後の4枠目にどの候補が滑り込むのか」に他なりません。

 ただ、自民党は「強い地盤があるとは言えない選挙区で2人の候補者を擁立する」というギャンブルに出ており、共倒れになる可能性があります。

 しかし、それ以上に興味深いのは「国政で歩調を合わせる立憲民主党と共産党が潰し合いを見せていること」でしょう。現職の辰巳氏は「前回よりも票の上乗せ」が必須なのですが、野党第1党の立憲民主党がテレビ番組で顔を売っている女性弁護士を擁立したのです。

 熾烈な選挙戦が繰り広げられることになるでしょう。

 

 どの候補が有権者からの支持を得て当選するにしても、国会での議論を重要視する政党の候補者が数多く当選して欲しいと考えている有権者が多いのではないでしょうか。