日本政府が IWC (国際捕鯨委員会)からの脱退して商業捕鯨再開へと舵を切る

 NHK によりますと、日本政府が「IWC (= 国際捕鯨委員会)から脱退し、2019年7月から商業捕鯨を再開する」と発表したとのことです。

 「南極海での調査捕鯨」は不可能になるますが、「日本の EEZ 内での商業捕鯨」は可能になります。“経済性に重点を起いたビジネス” ができることは本来の形と言えるでしょう。

 

 理由について「持続可能な商業捕鯨の実施を目指して30年以上にわたり、解決策を模索してきた。しかしながら、鯨資源の保護のみ重視する国々からの歩み寄りは見られず、ことし9月のIWC総会で鯨資源の持続的利用の立場と保護の立場の共存が不可能であることが改めて明らかになり、今回の決断に至った」と述べました。

 また、菅官房長官は国際捕鯨取締条約で、来月1日までにIWCからの脱退を、取りまとめ役のアメリカ政府に通告すれば、来年6月30日に脱退できるとされていることを踏まえ、年内に、外交ルートを通じて、アメリカ政府に通告する考えを示しました。

 そして、脱退の効力が発生する来年7月から再開する商業捕鯨について、日本の領海とEEZ=排他的経済水域に限定し南極海や南半球では行わないとしたうえで、国際法に従いIWCで採択された方式により算出される捕獲枠の範囲内で行うとしています。

 

捕鯨反対国の加入で『本来の役割』を見失った IWC

 IWC は「クジラの資源管理を行い、持続的な捕鯨を行うこと」を目的に設立された組織です。当初は目的に沿った形で運営されていましたが、時代の流れと共に『組織の目的』が変化してしまいました。

 「捕鯨を行うこと」が目的だったにも関わらず、「捕鯨を止めさせること」が目的に変わってしまったのです。

 これでは IWC に籍を起き続ける意味は薄れる一方です。むしろ、商業捕鯨が停止されてから30年以上も現状維持を続けたのですから、“潮時” を迎えたと言えるはずです。

 『調査捕鯨』という名目での捕鯨は続いていましたが、海賊行為に平然と手を染めるシー・シェパードのような輩を増長させるに結果となりました。「反捕鯨」を語る過激派を野放しにする国と分かり合う必要はないのですから、別の道を歩むことは妥当な判断と言えるでしょう。

 

日本の排他的経済水域内で採算性が取れる捕鯨を継続すれば良いだけのこと

 南極海での調査捕鯨を断念するのですから、反捕鯨国は「日本の IWC 脱退」を歓迎することでしょう。その代わり、日本は自国の排他的経済水域内で商業捕鯨ができるようになりました。

 採算性が取れなければ、ビジネスとして成り立たなくなるのですから、捕鯨に対するニーズがあるかは市場で判断されることになります。

 「鯨肉を食べるかどうか」は個人が “自らの価値観” によって決めることです。

 「鯨食は認めない」との価値観しか認めないなら、それは『他文化強制』であり、『多様性』の対極に位置する考え方と言わざるを得ません。鯨食も文化の1つなのですから、「ハラル対応の給食を出すべき」と主張したリベラル派が反捕鯨を訴えているなら、矛盾を指摘する必要があると言えるでしょう。

 商業捕鯨は市場のニーズが低ければ、すぐに先細りになるのです。「新鮮な状態での流通経路の確保」など様々なハードルがある訳ですから、反捕鯨派が “目くじら” を立てる必要は少ないはずです。

 

カナダも脱退した IWC を外れたことで失われる『国際的信用』など存在しない

 IWC を脱退することで「国際的信用が失われる」と懸念する声がありますが、それは単なる言いがかりです。過去にカナダは脱退していますが、『国際的信用』は失われたとは言えないでしょう。

 国際社会の顔色を伺って、「目立たず・騒がず・穏便に」で誤魔化し続けた外交戦略は時代遅れになっているのです。

 その代表例は「慰安婦問題による数々のデマで日本の『国際的信用』は毀損され続けて来たこと」でしょう。自国の価値観に合致しない国際組織からの脱退は珍しいことではありませんし、デマが流されたことによって損なわれた『信用』の方が大きいのです。

 ただ、現状の宣伝戦略が良いと言えるレベルに達していないことは事実です。日本は「正攻法」が好まれる傾向がありますが、『宣伝』の成功基準は「対象者が主張内容にどれだけ賛同するか」です。

 そのため、“なりすまし” による世論の下地作りなど、日本ではあまり好ましいとされない手法の方が効果を発揮するのです。「英語力を駆使する形で、欧米人になりすまして支持を広げる」という姑息と言われるような手段を平然と取れなければ情報戦で成果を得られないとの自覚を持つ必要があるでしょう。

 

 商業捕鯨を再開することで、反捕鯨を掲げる過激派が妨害行為に出ることも念頭に置いておく必要があります。もし、実際にそうした行為があった場合は威力業務妨害罪や共謀罪などで厳罰に処すべきです。

 鯨肉が良い商品であれば、消費者が買い求めることで市場に流通します。まずはどういった品質の商品が市場に出てくるのかが最大の注目点になると言えるのではないでしょうか。