『読売新聞』と『日本テレビ』を親会社に持つ “巨人・原辰徳監督” が「SNS 禁止令」を出すのは当然だろう

 プロ野球・巨人の監督に復帰した原辰徳氏が「SNS 禁止令」を予告したと東京スポーツが伝えています。

 明らかに時代錯誤なのですが、巨人の親会社が「読売新聞」および「日本テレビ」であることを考えると、正しいスタンスと言えるでしょう。なぜなら、球団側にとってはメリットの方が大きいからです。

 

 物申したのが原監督だった。「俺ね、有名人たちがSNSとかで自分で話すじゃない?あれダメだと思うね。あれは都合良すぎだよ。有名人ならば堂々といっとかなきゃな」。さらに自軍のSNS使用状況を関係者に確認すると、こう続けたのだ。「ジャイアンツの選手もやっちゃいかんですよね?言いたいことがあったら俺達(首脳陣)に言えと。あるいは新聞記者に言えと」

 チーム内のSNS発信率は上原が突出しているが、積極的に公に発信しているナインはほとんどいない。しかし、あえて指揮官が訴えたのは、「やっぱりメディアの後ろにファンがいる、という結びつけがいちばん大事だと思うけどね」というポリシーがあるからだ。

 原監督の持つ「ポシリー」そのものが時代遅れになっているのです。インターネットが世間一般で当たり前のように使われる時代になったのですから、変わる必要があるのは『旧態依然の価値観に基づくポリシー』だと言えるでしょう。

 

SNS の向こう側にもファンがいる上、選手と “直接” 結びつくことも可能

 原監督の主張内容には以下の2点で時代遅れとなっています。

  1. SNS の向こう側にもファンがいる
  2. 選手や球団とファンが SNS で直接結びつくことができる

 まず、インターネットという新しい情報伝達経路が誕生したことで、ファンが「メディアの後ろにだけ存在する」という時代は終わったのです。

 つまり、SNS の向こう側にもファンがいるのです。どの方法を用いてファンとの関係性を構築するのかは選手の自由であり、球団の価値観に依存します。そのため、一方的に制限を設けることは不適切と言えるでしょう。

 また、SNS の場合は「ファンと直接結びつくことが可能」という既存メディアにはない利点が存在します。

 新聞やテレビという情報仲介事業者は「自社の利益」を最優先するため、取材を受けた側の意図が正確に報じられる保証はありません。この問題が横たわっていることは認識されている必要があることなのです。

 

「読売新聞」と「日本テレビ」にとって SNS は強力なライバル

 “巨人の原監督” が「SNS 禁止令」を予告する理由は親会社の状況を踏まえてのことでしょう。原監督自身がどこまで事態を認識しているかは不明ですが、巨人軍と親会社の利害が一致していることは見落とすべきではないでしょう。

  • 「選手のコメント」や「プライベートな情報」は『コンテンツ情報』
  • 情報の独占度と収益度は比例関係にある
  • 新聞・テレビ・SNS はいずれも情報を伝達する媒体

 「選手のコメントや意気込み」、「プライベートな写真や映像」は『コンテンツ情報』です。マスコミは『選手の情報やコンテンツ』を報じることで収益を得ているのですが、選手がファンに情報を伝達するとビジネスが立ち行かなくという問題を抱えているのです。

 これは巨人軍の親会社に当たる読売新聞や日本テレビでも例外ではありません。巨人軍の選手が読売新聞(や報知新聞)・日本テレビの記者にコメントを語るから、紙面やスポーツコーナーが埋まるのです。ツイッターやインスタで直接ファンに語られると “仲介業者” に過ぎないメディアは太刀打ちすることは不可能です。

 そのため、選手に SNS の利用を禁じたいという動機が巨人の親会社側にはあるのです。また、不適切な投稿などによる弊害もあるため、使用規制による恩恵が球団側にもあるため、禁止令が出される見込みが出ていると言えるでしょう。

 

「選手自らが SNS で情報発信する必要はない」ことを認識した上でのルール作りをすべきだ

 原監督は「言いたいことがあるなら、首脳陣か新聞記者に言え」と述べていますが、新聞記者に言う必要はないでしょう。なぜなら、SNS で直接発信しても同じだからです。

 新聞記者は相談相手ではありません。「世間に自分の主張や意見を報じてほしい」からコメントなどを述べているのであって、『報じない自由』の権利を平気で行使するメディアに全幅の信頼を置く知的な選手はいないと思われます。

 所属選手が SNS に不適切な投稿をして炎上することを懸念するなら、運用方針を契約で制限すれば良いことです。「禁止」とするなら、契約に明記した上で「年俸の上乗せ」を提示すれば良いでしょう。

 また、「選手が持つアカウントの管理をエージェントや球団が行う」という海外アスリートが用いている事例を参考することも解決策と言えるでしょう。巨人軍の場合は読売新聞や日本テレビにいる “番記者” が選手の SNS を適切に管理・運用し、炎上を防ぐという手立てを講じることは難しくないはずです。

 

 とは言え、新聞記者は認証マークの付いた公認アカウントなどでネット上の失笑を買い続けていることも事実です。時代遅れであることは否定できない原監督による『SNS 禁止令』によって、どのような反応が起きるのかに注目と言えるのではないでしょうか。