ターゲット広告まで否定する “ポリコレ” は一線を越えたと言わざるを得ない

 日経新聞によりますと、フェイスブックが住宅や求人などの広告が「年齢や郵便番号から低所得者を除外し、差別を助長している」との批判を受け、個人を絞り込む機能を抑えたとのことです。

 これは “ポリコレ” が行き過ぎた結果と言わざるを得ません。

 中間層に「億ションの広告」を表示したところで、販売に結び付くとは考えられないからです。明らかに常軌を逸していると言えるでしょう。

 

 米フェイスブックが「ターゲティング広告」の機能を一部制限する。住宅売買や求人などの広告が差別を助長しているとの批判を受け、個人を絞り込む機能を抑える。同社はプライバシー保護の観点からデータ収集手法の修正も迫られており、競争力の源泉である広告の精度は低下が避けられない。売上高の99%をネット広告が占めるフェイスブックの事業モデルは岐路に立つ。

 ネット広告の魅力は「ターゲットに直接アプローチができること」です。

 これを支えていたのは「個人を絞り込み、ターゲット層を限定する機能」です。ところが、この機能に対して「差別を助長する」とのクレームが付き、修正を強いられたのです。

 クレームを入れたポリコレ界隈以外は損をする変更になったと言わざるを得ないでしょう。

 

住所と年齢によるフィルタリングは「広告の精度」という点で重要

 フェイスブックは年齢や郵便番号から低所得者を住宅や求人の広告から除外していたとの批判を受けました。ただ、これは “言いがかり” の要素も強いと言えるでしょう。

 なぜなら、年齢や住所による「広告配信対象者の絞り込み」は必要な機能だからです。

 ドイツのビール祭である『オクトーバーフェスト』の広告を配信しようとした場合、「年齢(= 20歳以上)」と「住所(= 開催地の近く)」による絞り込みは必須です。『オクトーバーフェスト in 横浜』の広告は「首都圏在住の20歳以上」に宣伝すると費用対効果が最も高くなるからです。

 首都圏以外に在住する人に広告を配信したところで、広告はほとんど見られないでしょう。「広告宣伝費を効果的に使う」という意味でも、“絞り込み” は重要な作業なのです。

 

スラムが存在する外国では「住んでいる地区」で所得の目安が付きやすい傾向がある

 日本では実感が乏しいと思われますが、アメリカでは「どこに住んでいるか」で所得の目安が付きやすい傾向にあります。

 これはスラム地区があるため、貧困層の多いエリアが郵便番号から特定できるからです。当然、貧困が蔓延する地域の住民に「住宅販売の広告」を出す意味はありません。

 購買力のない人物にまで住宅を購入させたことでサブプライムローン問題が発生したのですから、フィルタリングをするのは当然と言えるはずです。

 問題とするなら、「貧困地区に居住しているとの理由だけで求人を門前払いされた」という方でしょう。こちらは「応募者の資質を精査した上で採用の合否を決めるべき」と主張できるからです。

 ただ、州が異なれば、ルールや価値観が大きく異なるのがアメリカなのです。そのため、複数の地区を含めた地域単位での広告配信を絞り込めないような変更を要求することは明らかにやり過ぎと言わざるを得ないでしょう。

 

“広告の精度” が低下することはフェイスブック・出稿企業・ユーザーの誰もが損をする

 ユーザーの絞り込み機能が制限されたことで、広告の精度が低下することになると予想されます。これにより、誰もが損をすることになるでしょう。

  • フェイスブック(運営者):広告費の落ち込みが生じる
  • 広告を出稿する企業:宣伝の費用対効果が悪化
  • ユーザー:全く興味のない広告が表示されストレスに感じる

 フェイスブックに広告を出稿しても、対象のユーザーにまで宣伝内容が到達する割合が悪化するのですから、従来どおりの宣伝費を投入することは敬遠されるでしょう。それにより、フェイスブックの収益は悪化するのです。

 また、ユーザーも「バカにされている」と感じる広告が表示されるケースが増え、ストレスを感じることになるでしょう。広告の精度が低下したことで、フェイスブックを実際に使っている当事者の誰もが損をすることになるのは避けられない状況となっています。

 得をするのは「差別を是正することができた」と思い込んでいるポリコレ勢だけだと考えられます。常軌を逸した要求を叶えたところで、要求がエスカレートするだけなのです。線引きをしない限り、余計な負担が増えるだけであることを認識し、対応する必要があると言えるのではないでしょうか。