「コンプライアンスや品質保証の違反はあったけど、処分なしで活動を続けます」と第三者委員会が宣言した NGT48 の仕事が白紙になるのは当然

 山口真帆さんに対する暴行事件の余波で所属先のグループ『NGT48』の仕事スケジュールが4月から白紙状態になっているとスポニチが報じています。

 これは「第三者委員会が発表した調査報告書の内容と対応策が “世間一般での要求水準” に全く達していなかったこと」が大きな理由です。芸能界のように “穏便な幕引き” はできないのですから、運営側が対応を誤ったと言わざるを得ないでしょう。

 

 メンバーの山口真帆(23)への暴行事件を発端としたグループの騒動に収束の見通しが立っていない「NGT48」のメンバーがレギュラー出演する新潟のFM局「FM PORT」(新潟県民エフエム放送)の「PORT DE NGT」(土曜後9・00)が30日、終了した。

 (中略)

 このほか、テレビ1番組が今月で終了、ラジオ3番組が当面休止と、タイトルに「NGT」と入る全レギュラー番組が4月から“白紙”になった。グループの公式サイトで4月1~14日の劇場スケジュールは、すべて「休館日」に。3月まで埋まっていたスケジュールが、4月は“真っ白”になった。

 

「『コンプライアンス』や『自らが設定した独自ルール』を守ってません」と宣言したことが致命的

 NGT48 は「地方自治体と近い距離にいること」が他のアイドルグループとの大きな違いです。これは「新潟」を宣伝することと引き換えに、「新潟市」などからの支援を受けるということで現れています。

 地方中核都市の “お墨付き” を得て活動することで、「地域の顔」というべき地位を確立していたのですが、運営側が見落としていた弊害がありました。

 それは「クリーンな運営が行われていること」です。要するに、疑惑が浮き上がった際に適切な情報開示を行い、説明責任を果たせるかということが求められていたのです。

 ところが、NGT48 の運営サイドは真逆の対応を行いました。取締役が被害を訴えた山口真帆さんに幕引き宣言を要求していたことが明るみに出た上、第三者委員会の調査でも指摘された問題に対して「処分なし」としたのです。

 これではスポンサーが NGT48 を厄介払いするのは当然です。『コンプライアンス』や『自らが設定した独自ルール』を破るのですから、別の問題が起きるのは時間の問題です。NGT48 が現状の運営方針を採り続ける限り、優良企業のスポンサーを見つけることは困難と言えるでしょう。

 

公金(= 税金)の支出先が「グレー」では問題ありと見なされる

 山口真帆さんへの暴行事件で「有罪判決」を司法から下されたグループのメンバーはいないのですから、推定無罪の原則から「無罪」として扱わなければなりません。

 しかし、状況は「クロではない」に過ぎないのです。

 「クロ」ではないため、NGT48 に「犯罪者が所属するグループ」とのレッテルを貼ってはいけません。これは NGT48 の運営側を批判する人が “絶対に越えてはならない一線” として認識する必要があることです。

 一方で、「NGT48 はシロ」と証明されていないことも事実です。本来であれば、第三者委員会による調査報告書で「グレーの度合いを認定した上で、シロにするための施策が提言」されているはずでした。

 ところが、これが全くできていなかったのです。自分たちで『恋愛禁止』のルールを定めておきながら、「ファンとのつながりを持った(と疑われる)メンバーが少なくとも12人はいたが、お咎めなしとする」では話になりません。

 税金である公金の支出先に求められるのは「シロ」であり、「グレー」の状態では支出したくてもできないのです。NGT48 が「シロ」であることを証明するのは運営側です。それができないのであれば、スポンサー離れを引き落とし、仕事が白紙になるのは当然の結果と言えるでしょう。

 

広告代理店という “身代わり” を使えなかったことも失敗の原因なのではないか

 芸能界のアイドルグループがトラブルを起こすことは NGT48 が初めてではありません。芸人を始め、芸能関係者が起こした問題を持ち出せばキリがありません。

 ただ、被害を受けたメンバーからの告発で運営側がここまで大きなダメージを受けたケースは初めてと言えるでしょう。

 その要因の1つは記者会見中に被害者が「SNS で反論」したことでしょう。想定外の指摘を受けた運営側は回答に窮することとなり、不味い対応をしている実態を世間に印象づけてしまいました。

 また、広告代理店という “盾” を使わないビジネスモデルだったことも地味に響いています。

 広告代理店を利用していれば、スキャンダルは代理店側も必死になって対応します。これはスポンサー企業に切られると “広告代理店も” 売上が消滅するため、「解決」という結論が出たことを世間に周知徹底するために様々な手を講じるからです。

 

 “芸能界のルール” には世間一般では通用しないデタラメなものが横行しており、NGT48 で起きた事件によって広く知れ渡る結果になったと言えるでしょう。

 食品加工業者の第三者委員会が「自社で定めた衛生管理規則に違反する従業員の存在が疑われるが、食中毒や菌の発生は認められないので問題はない」と報告すれば、世間から袋叩きにされるでしょう。NGT48 がやっていることはこれと同じなのです。

 運営側の認識が変わらない限り、NGT48 への風当たりが変わることもないと言えるのではないでしょうか。