イギリス・メイ首相が党首辞任を発表、EU 離脱交渉は保守党新党首が首相として責務を持つことに

 イギリスのメイ首相が5月24日に保守党の党首を辞任すると発表したと NHK が報じています。

 イギリスは議院内閣制を採用しているため、与党のトップが首相を兼務します。そのため、与党・保守党の代表に新たに就任する政治家の下で、イギリスは EU 離脱交渉を進めることになると言えるでしょう。

 

 メイ首相は、24日午前10時すぎ(日本時間 24日午後6時すぎ)、ロンドンの首相官邸前で声明を読み上げ、来月7日に与党・保守党の党首を辞任することを明らかにしました。

 そして、翌週から後任を選ぶ党首選挙を開始し、次の党首が決まりしだい首相も辞任するとしています。

 EU 離脱交渉が「膠着状態」に陥っていたことは事実です。しかし、国民投票で「離脱」という結論が出ていた以上、結果を出すために様々な手を尽くしたメイ首相の姿勢は評価されるべきと言えるでしょう。

 そのため、後任の新首相は「結果」という形で成果を残すことが求められるはずです。

 

EU との交渉で得られた『合意内容』が全く理解を得られなかったことが痛かった

 メイ首相の政権運営が大きな痛手となったのは「EU との交渉で得た『合意内容』が理解を得れなかったこと」でしょう。これにより、解散総選挙の結果で揺らいでいた基盤がより不安定なものになってしまったからです。

 離脱反対派に加え、合意内容に反対する離脱推進派からの批判が強まり四面楚歌になってしまったのです。

 求心力が失われたのですから、事態は膠着するのは当然です。また、首相の座を辞すということも止むを得ない判断と言えるでしょう。

 

イギリスは保守党の新党首(= 新首相)の下で EU 離脱交渉を進めることになる

 メイ首相の後任ですが、保守党の新党首が着くことになります。メイ首相は6月7日に「保守党の党首を辞任」するのですから、党首選は翌8日以降から始まることでしょう。

 後任党首が無投票で決まるとなれば、「後任の党首が決まりしだい首相も辞任する」と表明しているメイ首相は6月の G20 を前に辞任していることが濃厚です。

 しかし、複数候補が党首戦に立候補となるでしょうから、選挙戦になることが現実的です。その場合は数週間は要すると考えられるため、6月28日および29日の G20 に間に合うかは微妙になります。

 “イギリス新首相の考え” を世界の首脳が一堂に会する場面で直接発信することには大きな意味があります。この機会をイギリスがどれだけ活かせるかが注目点と言えるでしょう。

 

EU 離脱の期限は「2019年10月」

 イギリスは「EU 離脱」という最重要課題を抱えており、その期限は「2019年10月」です。メイ首相の後任となる新首相はこの難題に取り組み、「結果を出すこと」が求められているのは言うまでもありません。

 ただ、そのために与えられる期間は約3ヶ月と短いだけに極めて高い政治手腕が要求されることになるでしょう。

 まずは「どのような政治的主張を持った人物が党首選に立候補するか」が焦点です。場合によっては「大幅な方針転換」も起こり得るだけにイギリス国内が流動的になっていることは否めません。

 メイ首相の後任首相が混乱に歯止めをかけられる手腕を持った政治家であるかが注目点と言えるのではないでしょうか。