トランプ大統領、日米貿易問題で「数ヶ月以内の妥結」を目標にした発言を行う

 日経新聞によりますと、令和初の国賓として来日中のトランプ大統領が25日に行われた経済人との会食の場で「これからの数ヶ月で大きな発表ができることを望んでいる」と述べたとのことです。

 日米両国は貿易問題がありますので、二国間協定の妥結にトランプ大統領が意欲を燃やしているのでしょう。ただ、夏に参院選が控えており、それまでに結論が出る可能性は低いと考えられます。

 

 令和初の国賓となるトランプ米大統領は25日夕、メラニア夫人と共に大統領専用機で羽田空港に到着した。大統領としての来日は2017年11月に続いて2回目。27日に天皇、皇后両陛下との会見を予定する。到着後、米大使公邸で日本の経済人約30人らと会合した。冒頭で日米の貿易不均衡に言及し「これから数カ月でとても大きないくつかの発表ができることを望んでいる」と述べた。

 

会食に出席した日本の経済人は「大企業の経営者」

 日経新聞はアメリカ大使館からの情報という形で会食に出席した日本側の経済人はトヨタ・ソフトバンク・日立などの経営者が参加していたと報じています。

 これらの企業はいずれも世界的な大企業で、トランプ大統領とすれば「アメリカ市場への投資を決定させたい企業ばかり」です。自国の雇用情勢を改善させるためにも、期待感を示すことは自然と言えるでしょう。

 企業側からすれば、“収益を上げ続けることができる環境” が重要です。

 「市場での利益を最大化するために最も適したサプライチェーンの構築」をどの企業も考えており、日米両国間を天秤にかけているのです。二国間協定の内容によっては「生産・製造拠点の移転」が経営状態を上向かせる起爆剤になる可能性もあります。

 そのため、今後本格化するであろう交渉の行方次第と言えるはずです。

 

「数ヶ月で大きな発表」と期限を区切りたい理由はアメリカ側にある

 トランプ大統領が「数ヶ月」と具体的な期限を匂わせた理由は国内事情があるからです。

 共和党の有力な支持基盤の1つが「(中西部を中心とした)農業票」なのですが、アメリカが「TPP 脱退」を表明したことで日本市場での競争力を失っています。カナダ・オーストラリア・EU 製に対するハンデを負っており、アメリカの農家が現状を容認できないことは容易に想像できます。

 つまり、アメリカ国内に投資を呼び込むだけでは「批判が起きている農業票の穴埋めだけに終わってしまう」ことになり兼ねないのです。

 アメリカ側には “泣き所” があるのですから、日本側はこれを「交渉のカード」として有効に活用しなければなりません。「国益を最大化するために、どれだけ活かすことができたか」を政権の交渉責任者は問われることになるでしょう。

 

 アメリカの大統領が「アメリカの国益」を最優先に考えるのは当然です。「日本の事情に配慮してくれるならラッキー」ぐらいの見通しを立てて外交戦略を立てる必要があります。

 逆に、相手の国内事情に “忖度” することはマイナスです。リベラル派に多い「韓国の事情に配慮すべき」という主張を反面教師とし、安倍政権が日本の国益をどれだけ大きくできるかが注目点と言えるのではないでしょうか。