「ヤバい」と言われ続けた韓国産ヒラメ等への検査強化を日本政府が発表、メディアは「事実上の対抗措置」と報じる

 5月30日に厚労省が「寄生虫クドアを原因とする食中毒が発生しているため韓国産ヒラメの検査を強化する」と発表したと朝日新聞が伝えています。

 「対抗措置ではない」と発表されていますが、対抗措置と見られても不思議ではないでしょう。なぜなら、「違反の蓋然性が高いままなら、検査率のさらなる引き上げも視野に順次措置する」と公式に宣言されているからです。

 

 厚生労働省は30日、寄生虫クドアの食中毒が続いているとして、韓国産ヒラメの輸入検査を強化すると発表した。6月から検査の対象を輸入届け出の20%から40%に引き上げる。貝やウニの細菌検査も現状の10%から20%にする。

 (中略)

 厚労省によると、韓国産ヒラメのクドアの食中毒は2015年以降、年5~10件発生。国産ヒラメでも発生している。ただ、生きたヒラメは韓国のみから輸入しており、食中毒対策の改善がみられないことなどから、検査強化に踏み切ったという。

 

以前から “曰く付き” だった韓国産ヒラメ

 韓国産ヒラメが問題視されるのは今回に限った話ではありません。なぜなら、2015年には大分県が回収命令を出す事態になっているからです。

 大分県は10日、同県豊後大野市の業者が輸入した韓国産の生食用活ヒラメから食品衛生法の基準を超える寄生虫「クドア・セプテンプンクタータ」が検出されたと発表した。県は輸入された3100キロ(2862匹)の全品回収を同社に命じた。

 (中略)

 県によると、ヒラメは5日に輸入。検疫所が調べたところ、基準を超える1グラムあたり170万個の寄生虫が含まれていることが10日に判明。

 「クドア」はヒラメに寄生する寄生虫です。刺身に関する食中毒が多く、筋肉1グラムあたりのクドアの胞子数が100万個を超えることが確認されたヒラメは食品衛生法第6条に違反するものとして取り扱うことになります。

 「病原微生物により汚染され、人の健康を損なう恐れがるもの」ですから、販売・採取・製造・輸入・加工などが禁じられるのは当然と言えるでしょう。

 

「韓国産の活ヒラメが原因」と断定された食中毒は年 5〜10 件発生している

 韓国産ヒラメによってクドア食中毒がどのぐらい発生しているのかは厚労省が発表しています。

画像:韓国産ヒラメによる食中毒の発生件数

 2015年以降、毎年10件弱の食中毒が発生。改善の兆候がない状況ですし、検査体制が強化されるのは自然な流れと言えるでしょう。

 むしろ、検査が緩かった現状に批判が向けられるべきです。ただ、厚労省が「さらに1歩踏み込んだこと」については評価をする必要があると言えるでしょう。

 

公衆衛生に悪影響を及ぼす輸入食品への検査は厳しくすべきだし、産地偽装の元を除去できることもプラス

 韓国の公衆衛生は残念ながら「日本と同等水準」とは言えません。そのため、日本国内の公衆衛生を守るために、輸入検査の強化は止むを得ないでしょう。

 食中毒を引き起こす恐れがある菌が付着した状態の食品であるにも関わらず、「輸入先の基準では問題ない」との理由で検疫を通過できることの方が大きな問題だからです。

 これだけ常態化しているのですから、韓国には「日本向けの輸出食料品の全量検査」を義務付けてもいいぐらいです。

 また、韓国産ヒラメを日本産と偽る不届き者も一定の割合で存在するはずです。食品分野での産地偽装は起こり得ることですし、偽装するための活ヒラメが入手しにくくなれば、偽装案件の絶対数が少なくなるという効果も期待できるからです。

 

 韓国産の食品が不衛生なのはヒラメや貝類に限った話ではありません。衛生状態が改善しないのであれば、キムチなど他の食品にも検査の強化をせざるを得ないでしょう。

 それを「対抗措置」や「報復」と文句を付けてくるのであれば、「言いがかりだ。日本国民の健康を危険にさらすなど以ての外」と厳しく批判する必要があると言えるのではないでしょうか。