共同通信、「厚労相が職場でのパンプス強制を容認」と国会答弁を切り取ってデマを流す

 6月5日に行われた衆議院・厚生労働委員会での根本厚労相の発言を共同通信が切り取り、「ハイヒールやパンプスを強制する職場を容認」との発言があったと記事にしています。

 しかし、これは完全なフェイクニュースです。なぜなら、「場合によってはパワハラに該当しうる」と根本厚労相は答弁しているからです。マスコミの悪意が存在していることは否定できないと言えるでしょう。

 

■ 共同通信の記事

 共同通信が報じた記事の内容は以下のものです。

画像:共同通信が報じた記事

 女性にハイヒールやパンプスを強制する職場があることに関し、根本匠厚生労働相は5日の衆院厚労委員会で「社会通念に照らして業務上必要かつ相当な範囲」と述べ、事実上容認する考えを示した。ネット上で反対活動が広がっており、発言は波紋を呼びそうだ。

 この発言が事実なら、波紋を呼ぶでしょう。

 しかし、実態は「問題を提起した活動家に波紋を起こしたいマスコミが同調している」のです。答弁内容を都合よく切り取った報道をして問題を煽っているのですから、フェイクニュースを流したマスコミは厳しい批判にさらされるべきだと言わざるを得ないでしょう。

 

■ 事実

1:根本厚労相の答弁内容

 6月5日に行われた衆院・厚生労働委員会で尾辻かな子議員(立憲民主党)が「職場でパンプス着用が必須とされている状況をどう受け止めるか」と質問したことに対し、根本厚労相は次のように答弁したと NHK が伝えています。

 「それぞれの業務の特性があるので、社会通念に照らして、業務上必要、かつ相当な範囲でということなんだろうと思う。パワハラにあたるかどうかは、その範囲を超えているかどうかがポイントだ」と述べ、ハイヒールなどの着用を求めることは社会通念に照らして、業務上、必要で、相当な範囲にとどまるべきで、それを超える場合にはパワーハラスメントになりうるという認識を示しました。

 この発言は衆議院TV から確認が可能です。

 根本厚労相は「必要かつ適切な範囲内と説明できなければ、ハイヒールやパンプスの着用を強制することはパワハラに該当する」との意味の答弁をしています。答弁を切り取り、真逆の内容のニュースを報じたマスコミの劣化具合は深刻です。

 

2:厚労相が「(パンプス強要は)社会通念に照らして認められない」と発言する方が問題

 「ハイヒールやパンプスを着用するか」は企業(= 職場や雇用者)と従業員との間で決めることであり、国が出るものではありません。

 むしろ、国からの「企業はハイヒールやパンプスの着用を強制させるな」との “圧力” を期待する一部の活動家の姿勢の方が問題です。なぜなら、国が民間に圧力をかける形になるからです。

 もし、厚労相が「(パンプス強要は)社会通念に照らして認められない」と発言していれば、あらゆる例外が認められなくなります。ファッションショーなどでモデルに「ハイヒールやパンプスの着用」を指示しても、「強要だ」とモデル側が拒否権を発動できるようになってしまうからです。

 ですから、個別事例については個別に対応しなければなりません。「個別の事例を持ち出し、国に一律規制を求める」という活動家の方針やその運動を援護射撃するマスコミの姿勢は批判にさらされるべきでしょう。

 

 今回の切り取り報道は共同通信だけでなく、朝日新聞や(朝日新聞系列の)ハフィントンポストも行っています。マスコミが与党議員の「失言」を捏造し、政権批判のネタにしようとしている事例だと言えるのではないでしょうか。