リニア建設で代償を要求する静岡県知事に対し、JR 東海は「行政訴訟」で損害賠償を求めるべきだ

 静岡県の川勝知事がリニア新幹線の建設を進める JR 東海に対し、「経済的な見返り」を暗に要求していると読売新聞が伝えています。

 これは不当な要求と言わざるを得ないでしょう。「環境面に対する懸念」を全面に出していますが、政治的なパフォーマンスに過ぎません。伊豆で大規模ソーラーパネルの設置による明らかな環境破壊には見て見ぬ振りをしているからです。

 したがって、JR 東海の資金で静岡県内の鉄道インフラ整備を求める静岡県の姿勢に対しては行政訴訟という形で反発する必要があると言えるはずです。

 

 静岡県の川勝知事は13日、未着工となっているリニア中央新幹線静岡工区の工事予定地である静岡市の南アルプス山中を視察した。知事はJR東海に求めている「代償」について、記者団に「地域貢献ということだ。(中間)駅をJR東海が負担して(沿線他県に)作る金額がひとつの目安になる」と述べた。JRに工事同意に対する経済的な見返りを改めて求める姿勢を示した。

 

「リニア新駅を作らないなら、同額の資金を静岡県に寄越せ」と要求中

 川勝知事が欲しいのは「自らの政治的業績(= レガシー)」でしょう。リニア新駅が静岡県内にできれば、開業セレモニーに出席できますし、後世に自らの名を残す業績となるからです。

 しかし、JR 東海が決定したルートでは「静岡県内は通過するだけ」です。

 だから今回のような行動に出ているのだと考えられます。この行為が異様であるのは地方自治体のトップが「強請り」をしているのです。

 “ルート選定中” の段階で「地元の利益を最大化にするための発言」は許容範囲内と言えますが、“ルート選定後” に「許可が欲しければ金を払え」はヤクザと同じです。こうした悪しき前例が容認されることは問題と言えるでしょう。

 

伊豆でソーラーパネルの設置による大規模な山林破壊が起きていることには寛容な静岡県

 川勝知事は「南アルプスの環境が重要」と主張していますが、説得力に欠けると言わざるを得ません。なぜなら、伊豆で太陽光発電事業者が地元を反対を無視して大規模な山林破壊をしていることを強く批判し続けていないからです。

 JR 東海は南アルプスの自然保護に向けた基金に資金提供する姿勢を示しています。静岡県などが作る基金に協力するのですから、大きな批判を受ける筋合いはないと言えるでしょう。

 ですが、伊豆で騒動を起こしている太陽光発電事業者はそうした対応をしていません。このようなダブルスタンダードが明白である以上、川勝知事の対応は支持できるものではないと言わざるを得ないのです。

 

行政からの嫌がらせには「行政訴訟」で対応すべきだ

 静岡県が JR 東海に対して “実力行使” に出るなら、迷わず報復を選択すべきでしょう。現実に損失を被ることになれば、静岡県および川勝知事を相手どった行政訴訟を起こすべきです。

 反撃に出ない相手への対応が雑になり、要求がエスカレートするのは当然です。

 「不当な要求をしたことが明らかになった場合は相応の代償を自らが支払う」という原則を行政が相手であっても認識させなければなりません。そうしなければ、言いがかりを付けた側や権力を持っている側が極めて有利な社会になってしまうからです。

 “ちゃぶ台返し” や “難癖” というクレーマー戦術が有効であることは問題です。こうした動きに対しては批判の声を出し続けることが重要と言えるのではないでしょうか。