あいちトリエンナーレ問題・その3: 「『2億円の制作予算』で『ヘイト作品』の発注をかけた疑い」に対する主催者からの説明がない

 愛知県が主催する『あいちトリエンナーレ』で行われた『表現の不自由展』に関する問題が依然として尾を引いています。

 世間ではあまり取り上げられていませんが、現場監督である津田大介氏が北海道新聞からのインタビューに語った「美術政策予算2億円」は問題視されるべきでしょう。なぜなら、主催者である愛知県が『ヘイト作品』の制作を依頼したことと同じ意味を持つからです。

 『表現の自由』で押し切るには党派性が偏りすぎているのです。巨額制作予算など「金の流れ」を納税者に開示し、寄せられた質問に回答する責務が主催者にはあると言えるでしょう。

 

 ほかの芸術祭と違って、あいちは事務局50~60人が全て県職員。普通はイベント制作会社や広告会社に投げることが多いはず。県職員の毎回3分の2が入れ替わる分、芸術監督に与えられている権限は大きい

 (中略)

 約80組の作家選びは当初、学芸員に任せるつもりだった。ところが、上がってきたリストを見て「ピンとこない。これはまずい」と方針転換。自ら決定権を握った。「僕はそういう(人の権利を奪う)タイプの人間ではありません。でも、そうしないと『情の時代』というテーマにこだわった内容にならないと思った。仕事は5倍くらい大変になったが、その方針のおかげで(参加作家の男女比を半々とする)ジェンダー平等も達成できました」

 美術制作予算は約2億円。それでもアーティストに自由に制作してもらうには足りず、自ら企業を回り協賛金を集めている。「(自動車メーカー)ボルボには200万円出してもらうなど、それなりに集まってきていますが、まだ足りない。これからも回ります」

 

“美術制作予算” は「発注をかけた」ことに等しい

 公的機関は『表現の自由』を守らなければならない立場にあります。また、同時に「特定の勢力に肩入れしないことも要求される立場」にあるのです。

 つまり、難しいバランスの上に立たなければならず、それに失敗したのが『あいちトリエンナーレ』を主催する愛知県と言えるでしょう。

 なぜなら、現場監督を務めた津田大介氏が北海道新聞の取材に舞台裏を明かし、主催者側に複数の落ち度があることを認めているからです。

 その1つは「美術制作予算で2億円を投じていること」です。これは「『表現の不自由展』に出展を考える作家に発注を依頼した」と言っていることと同じです。

 この発言は発言した津田大介氏本人か、イベントの責任者である大村知事が事実関係を説明しなければなりません。『表現の自由』を議論する前段階での “愛知県の見識” を問う必要が出ているからです。

 

「表現する場を与えること」と「特定の表現を支援すること」には “雲泥の差” がある

 公的機関の対応で容認されるのは「表現を行う場の利用を許可すること」まででしょう。例えば、公共物である道路上で行うデモ活動を許可するというものです。

 行政は政治や思想的に様々な人が納めた税金を基に予算を拠出しています。そのため、拠出先は可能な限り公平で中立であるべきです。

 したがって、所定の利用手続きを行っていれば、どのような政治思想を掲げる団体でも『道路の使用許可』は得られるべきでしょう。なぜなら、それが『表現の自由』を守ることになるからです。

 「自治体が所有する施設」も「道路」と同様に『表現を行う場』としての利用は許可されるべきです。しかし、実際は「ヘイトスピーチが行われる恐れがある」との理由で利用許可すら得られないことが実情です。

 愛知県の大村知事に至っては「ヘイトスピーチは許さない」と過去に発言しながら、『あいちトリエンナーレ』では特定の政治思想に基づく『ヘイト作品』の制作に県予算が拠出されている疑いがあるのです。この部分に対する説明責任を果たす必要があるのは明らかと言えるでしょう。

 

「公的機関である愛知県が『反日ヘイト』の制作に費用を出した事実がない」と証明する責務は主催者にある

 『あいちトリエンナーレ』の問題では “疑惑をかけたれた主催者” が潔白を証明しなければなりません。なぜなら、疑惑の根拠が「主催者側の発言」だからです。

  • 津田大介氏が『学芸員の展示内容案』を現場監督の権限で覆す
  • 参加作家は男女半々になったが、政治思想は左(= 親韓・反日)に偏る
  • 美術制作予算は約2億円

 これらの発言を主催者側の人間として権限を持っている津田大介氏が発言しているのです。「差別にならないよう留意し、『ヘイト作品』と指摘される展示物に制作予算を出したことはない」と証明するのは主催者であるはずです。

 それができないなら、愛知県が公費を投じて『ヘイト作品』の制作を依頼し、それらの作品を『表現の自由』を理由に展示を行ったとの非難を受け入れなければなりません。

 

 少なくとも、愛知県は津田大介氏を現場監督に抜擢した理由を説明する責務があります。美術制作予算については「誰がどのように配分したのか」を “主催者” が責任を持って明かす必要があるでしょう。

 左翼活動家が箔を付けるために利用していた疑いのあるのですから、行政には「特定勢力に便宜を図った事実はない」と証明する責務があると言えるのではないでしょうか。