“韓国依存の観光地” が日韓関係悪化で青息吐息なことに対し、自民・宏池会の武井議員が「温かくもてなすべき」との的外れな主張を展開

 日韓関係が悪化したことで、韓国では「日本旅行をボイコットしよう」とする運動が起きています。観光業は浮き沈みの激しい業種ですが、韓国人観光客への依存度が高い観光地ほど、“沈み” が大きいと言えるでしょう。

 自民党・宏池会の武井俊輔議員が「韓国人観光客を温かくもてなすべき」と主張していますが、これは的外れと言わざるを得ないでしょう。

 

 

「韓国人観光客だけを手厚くもてなすこと」は “毒まんじゅう” である

 観光業に従事する人々が誰を顧客にするのかは自由です。しかし、「観光組合」や「行政」が率先して優遇する顧客層を作ってしまうと、優遇の対象から漏れた潜在的な顧客層から見向きされなくなるという問題があることを認識しておかなければなりません。

 例えば、北海道庁が行った対応が悪い例の典型です。

画像:千歳空港で韓国人観光客を歓迎する北海道庁の職員

 “韓国人観光客だけ” が歓迎されるのです。中国人や他の外国人観光客は母国語の横断幕による歓迎を受けることも、記念品が手渡されることもないのです。

 韓国人観光客をメイン顧客にする企業が個別にする分には問題ありません。しかし、行政が率先してやっているのですから、日本人を含む韓国人以外の観光客が北海道を旅行先の候補から外すことは避けられないと言えるでしょう。

 

“中国人観光客” や “爆買いブーム” で「特定層に依存する事業形態」はリスクが高いことは認識済みでなければならない

 武井議員(自民・宏池会)は「観光は裾野が広い産業」と位置付けていますが、それなら “多種多様な客層” を『日本の観光業の顧客』として対応する形態にしておかなければなりません。

 なぜなら、観光業は浮き沈みの大きい “水物” としての特性があり、特定の顧客層に依存する形態は事業継続のリスクを高めてしまうからです。

 その代表例は「中国人観光客の爆買い」に依存するモデルでしょう。

 圧倒的な購買力を見せつけた中国人観光客に重きを置く販売形式を採用した百貨店は売上高を伸ばしましたが、外貨流出を嫌う中国当局が制限をかけると販売力は衰退。日本人客を呼び戻そうとするも、客足の回復に苦戦する状況は否定できません。

 つまり、“爆買いに踊った小売業” を反面教師とし、同じ失敗を繰り返さないことが観光業では重要なのです。しかし、武井議員は『LCC で来日する韓国人観光客』という “限定された顧客層” への配慮を主張しています。

 リスク分散するためには「従来型の航空会社」で来日する外国人観光客もカバーする必要があることは明らかです。その役割を妨害する形になっているのですから、武井議員の経済センスは問題と言わざるを得ないでしょう。

 

『日本国内の LCC 路線』を充実させるため、航空行政の改革に励むのが国会議員である武井俊輔議員の役目

 『LCC 利用客』を主要顧客に設定している観光地があるなら、「韓国以外の LCC 路線の開拓」がリスク分散策として有効になります。

 「韓国のみ」に注力すると方針転換を図ることが難しくなる上、買い手優位(= 顧客優位)が定着してしまう問題があります。これは観光業に従事する売り手側から見れば収益を出しにくくなる構造であるため、改善が必要と言えるでしょう。

 武井議員が懸念する九州に関しては『LCC の日本国内線の拡充』や『台湾線』『香港線』を呼び込むことが対策として考えられます。

 どの路線にしても、鍵となるのは「日本の航空行政」です。航空路線は当局から発着枠を割り当てを得る必要がありますし、移動コストを引き下げるための政策をすることは政治家の重要な役割であるはずです。

 韓国人観光客のインバウンド消費が台湾や香港からの旅行客と比較して少ないことはデータで判明しているのです。『LCC を利用して来日する韓国人観光客』だけを優遇する必要性を見出すことは難しいと言えるのではないでしょうか。