サウジアラビアにある世界最大級の原油生産施設がドローン攻撃で稼働停止、原油価格の急上昇が発生する

 NHK によりますと、サウジアラビア東部にある世界最大級の原油生産施設がドローン攻撃を受けて操業が停止する事態となり、原油価格が 20% 弱も値上がりしたとのことです。

 原油価格の上昇は火力発電に依存する日本経済に大きく影響しますし、他人事とは言えないでしょう。したがって、ドローンを使ったインフラ施設への攻撃への対策を日本も講じておく必要があると言えるはずです。

 

 サウジアラビア東部のアブカイクにある石油関連施設などが14日攻撃を受け、サウジアラビア政府は、1日の原油生産量のおよそ半分が一時的に生産を停止していることを明らかにしました。

 これを受けて、ロンドン原油市場では日本時間の16日午前7時の取り引き開始直後から北海産の原油の先物価格が大幅に値上がりし、先週末の1バレル=60ドル台前半に比べて一時、18%以上高い71ドル台まで上昇しました。

 (中略)

 サウジアラビアの原油生産量は世界3位で今回、生産を停止している分は世界全体の供給量のおよそ5%にあたるだけに、国際的な原油市場に大きく影響しています。

 

世界全体の供給量の 5% を占める施設の稼働が予期せぬ形で止まった影響は生じる

 ドローン攻撃を受けたサウジアラムコの施設ではサウジアラビア国内での生産量の半分(= 世界全体の 5%)を担っています。この施設の稼働が予期せぬ形で止まったのですから、世界経済に影響が出ることは不可避と言えるでしょう。

 そのため、原油価格が先週末と比較して約 20% の上昇を見せる結果となっています。

 ただ、ほとんどの国が石油を備蓄しているため、当面の供給体制に問題が生じる可能性は低いと言えるはずです。したがって、生産体制の復旧に戸惑うことがなければ、原油価格の上昇は一時的なものになるでしょう。

 

火力発電に過度な依存をする日本にとって原油価格の上昇は歓迎できない

 日本のエネルギー政策は「様々な発電方法を組み合わせるエネルギー・ミックス」を掲げていますが、現状は火力発電に大部分を依存する形になっています。

 火力発電の燃料は石油資源であり、原油価格の上昇は電気代の高騰に直結します。再生可能エネルギーに注力するにしても「バックアップ用の電源(≒ 火力発電)」が欠かせません。

 生産コストの上昇は「経済の失速」を招く大きな要因になる恐れがあります。このような事態を防ぐための安全対策は必要経費と割り切り、投資を怠らないことが重要と言えるでしょう。

 

日本国内でドローン攻撃に備える必要があるのは「大型の火力発電所」

 サウジアラビアでの原油生産施設の稼働が止まった理由は「ドローンによる自爆攻撃」ですが、日本でも対策を講じておく必要があるはずです。

 現状では「原発へのドローン攻撃」がメディアなどを中心に懸念されています。しかし、早急な対策が必要なのは「(大型の)火力発電所」です。

 なぜなら、電力供給の予備率に余裕のない日本の現状では「100万kW級の火力発電所が1つダウンすること」でブラックアウト(= 大規模停電)が発生する可能性が極めて高いからです。

 原子力発電所と比較すると火力発電所は脆弱です。その上、電力供給に与える影響は比較にならないほど(現状では)火力発電の方が大きいのですから、テロリストに狙われる可能性を認識しておかなければなりません。

 この点を無視したエネルギー政策の議論は意味がないと言わざるを得ないでしょう。

 

 大規模停電で「復旧」に焦点が当たっていますが、「電力の安定供給のための資源確保」や「復旧用の資本確保」という予防策が採れるような環境づくりにも焦点が当たるべきと言えるのではないでしょうか。