韓国で『アフリカ豚コレラ』が発生、韓国からの旅行客・輸入品に対する検疫体制を速やかに「中国からと同じ基準」にまで引き上げるべきだ

 NHK によりますと、「感染した豚がほぼすべて死ぬ豚の病気である『アフリカ豚コレラ』が韓国で確認された」と韓国・農林畜産食品省が発表したとのことです。

 日本国内で問題となっている『豚コレラ』を上回る感染力と致死性を持つ『アフリカ豚コレラ』が韓国で発生したのです。“水際で防ぐことができない感染経路” も存在しますが、中国と同じ基準の検疫体制を敷く必要があると言えるでしょう。

 

 韓国政府は、豚の伝染病「アフリカ豚コレラ」の感染が、17日に続き18日も北朝鮮との軍事境界線近くで確認されたと発表し、感染拡大を防ぐための対応を急いでいます。

 感染力が極めて強いアフリカ豚コレラは、感染した豚がほぼすべて死ぬ豚の病気で、韓国では17日、北朝鮮との軍事境界線に近い北西部のキョンギ(京畿)道パジュ(坡州)で、国内で初めての感染が確認されました。

 これについて韓国農林畜産食品省は18日朝、パジュに隣接するヨンチョン(漣川)の養豚場でも、新たな感染が確認されたと明らかにしました。

 この養豚場ではおよそ4700頭を飼育していますが、農林畜産食品省は、すべて殺処分するとしています。

 そのうえで、パジュやヨンチョンを含む近隣の6つの自治体にある養豚場を重点的に消毒するとともに、ほかの地域への豚の出荷を3か月間制限し、感染拡大を防ぐための対応を急いでいます。

 

中国で蔓延する『アフリカ豚コレラ』の感染が朝鮮半島でも確認される

 韓国で初確認された『アフリカ豚コレラ』ですが、感染経路は現時点で不明です。ただ、ルートは「中国経由」でしょう。なぜなら、『アフリカ豚コレラ』は中国で蔓延している状態だからです。

画像:アフリカ豚コレラの感染が確認された国

 中国で『アフリカ豚コレラ』が発生した原因は「アフリカのインフラ開発に出向いた中国企業がウイルスを持ち帰ったから」でしょう。

 『アフリカ豚コレラ』のウイルスが持つ生命力は強く、軽く熱を通しただけの豚肉製品からウイルスが検出される状況です。そのため、検疫体制の緩かった中国で “定着” する形となり、陸続きの周辺国に感染拡大することになったと考えられます。

 したがって、日本に『アフリカ豚コレラ』のウイルスが持ち込まれるのは時間の問題になりつつあると言えるでしょう。

 

韓国から『アフリカ豚コレラのウイルス』が持ち込まれるリスクは認識されていなければならない

 日本は島国ですから、陸路で『アフリカ豚コレラ』のウイルスが持ち込まれるリスクはほぼゼロです。しかし、海路や空路で持ち込まれるリスクを排除することはできません。

 韓国での『アフリカ豚コレラ』は「北朝鮮との国境沿い」で確認されていることから、北朝鮮が感染源になったと考えられます。

 陸路で『アフリカ豚コレラ』が持ち込まれることが難しい韓国でも感染事例が確認されたのですから、同様の感染経路による発症が日本で起きる可能性は十分にあります。そのため、検疫体制が厳格に運用されていることが重要と言えるはずです。

 農水省は「台風15号で甚大な被害が出た千葉県の農作物被害」に重点を置いていることでしょう。日本国内の注目度が高いですし、そうなることは自然なことです。

 ただ、隣国で『アフリカ豚コレラ』が発生した事実を甘く見ると、日本国内の養豚農家が大きな痛手を受けることになります。そのため、感染ルートして考えられる経路には特に目を光らせておく必要があると言えるはずです。

 

「韓国産の食品に『アフリカ豚コレラ』のウイルスが付着している事例」は検疫で防がなければならない

 検疫の重要性が増す理由は「『アフリカ豚コレラ』に感染した疑いを認識した韓国の養豚業者が出荷を強行するケースが想定されるから」です。

 『アフリカ豚コレラ』に感染した豚肉製品を人が食べても問題にはありません。しかし、それをイノシシなど “キャリア” になる可能性がある野生動物が食べてしまうと、日本国内で感染が急拡大することになります。

 したがって、検疫は「不届き者がいるに違いない」との認識に基づく『性悪説』で運用されていないと代償を国内の産業が支払うことになるのです。

 日本国内でも『豚コレラ』の発症が疑われる事例での報告の遅れが出ているのですから、より強い感染力と致死性を持つ『アフリカ豚コレラ』の発症が疑われる場合は「隠蔽」への誘惑も強くなるでしょう。

 その結果、旅行客が本人の知らない間に「ウイルスが付着した食品」を持ち込んでしまう事例が発生することが考えられるため、持ち込み禁止を徹底するなどの対策に乗り出す意味は大きいと言えるのではないでしょうか。