申請内容と使途用途に齟齬が発生した『あいちトリエンナーレ』に対する補助金交付が見送られるのは当然のこと

 NHK によりますと、慰安婦像などを展示するイベントが中止となった『あいちトリエンナーレ』への補助金交付を文化庁が見送る方針を固めたとのことです。

 『あいちトリエンナーレ』は前回開催でもトラブルを起こしていましたし、今回は申請内容と使途用途に大きな乖離がありました。補助金交付の執行プロセスを無視した愛知県に配慮する理由はないですし、交付の見送りは妥当な判断と言えるでしょう。

 

 慰安婦を象徴する少女像などの展示をめぐって脅迫めいた電話などが相次ぎ一部の展示が中止された愛知県の国際芸術祭について、文化庁は、事前の申請内容が不十分だったとして、予定していたおよそ7800万円の補助金を交付しない方針を固めたことが、関係者への取材で分かりました。

 (中略)

 文化庁は、審査の結果「申請者である愛知県は、開催にあたり、来場者を含め、展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず、事実を申告することなく、文化庁から問い合わせを受けるまで事実を申告しなかった」と指摘しています。

 そして「審査の視点で重要な点である、実現可能な内容になっているか、事業の継続が見込まれるかの2点で、適正な審査を行うことができなかった」としています。

 

文化庁からの補助金は「イベント終了後に交付」される仕組み

 文化庁から補助金交付を得るのは以下のプロセス(PDF)に基づく申請を行い、“実績報告書” を提出する必要があります。

画像:文化庁が拠出する補助金の交付を受けるための流れ

 『あいちトリエンナーレ』は補助金申請(= 6に該当)を行い、給付予定額は決まっていました。

 しかし、(文化庁から見て)補助事業である『あいちトリエンナーレ』が実施の際にトラブルが発生。事業の「申請」と「実績」の間に齟齬が生じた状況となっていたのです。

 そのため、文化庁が「補助金の申請内容と使途実績が異なる」と批判することが可能となり、“最後に” 行われる補助金交付が見送られるという事態を招くこととなりました。これはイベント主催者である愛知県の落ち度を言わざるを得ないでしょう。

 

「批判や抗議は想定していた」と言いながら、3日で展示を自ら止めた『あいちトリエンナーレ』

 『あいちトリエンナーレ』の主催者である愛知県の大村知事や芸術監督を務めた津田大介氏は責任の押し付け合いをしています。

 現状は検証委員会を立ち上げ、最大者の出資者である大村・愛知県知事の保身を全力で図るという “茶番劇” を演じている状況です。大きな批判や抗議を招く恐れのある作品群を展示する認識を持っていた中で必要な対策を採らず、申請内容と開催実績に齟齬を生み出したのですから、補助金を得られなくても文句は言えないでしょう。

 また、騒動が発生してから文化庁から問い合わせがあるまで事実を申告していなかったという点も大きなマイナスです。

 「申請どおりに実行している」と主張できるなら、騒動が大事になった時点で主催者である愛知県の担当者が文化庁に「事態の説明」や「補助金交付のための相談」をするために出向いていたはずです。これをしていないことは不自然なことと言わざるを得ないでしょう。

 

自称・芸術家界隈や愛知県は「文化庁を ATM 程度」としか見ていなかったのでは?

 愛知県の大村知事は補助金交付の見合わせを示唆した文化庁の決定に不満を述べていますが、補助金に対する認識で差異が生じているのでしょう。

 補助金で直接的な恩恵を受ける芸術家や愛知県は「申請が通ったのだから、補助金を支給すべき」との立場です。しかし、文化庁が事業に対して補助金を出す理由は「芸術作品を通して(納税者である)国民に還元すること」です。

 したがって、申請された内容で芸術作品が展示されていないと税金を予算として拠出する自体が問題視されることになるのです。

 『あいちトリエンナーレ』では主催者が設置した検証委員会は「現場監督が暴走したことが問題」と主張しており、それを止められなかった主催者に対して補助金を満額支給することは論外です。

 また、“昭和天皇の写真を燃やす映像作品” の展示を強行するなど、トラブルが発生することは事前に認識していたことでしょう。世間からの厳しい抗議が起きることも予想された中で最低限の対策すら講じていなかったのですから、主催者側は補助金を出す文化庁を ATM 程度にしか見ていなかったのでしょう。

 

 この件で「表現の自由を守れ」と主張している界隈は「朝鮮学校の無償化」を要求している界隈と同じです。なぜなら、自腹による活動をする権利は保証されているにも関わらず、行政に「(特定界隈の)活動資金を援助しろ」と文句を言っているからです。

 申請内容と異なる実施内容でも補助金が交付される方が問題です。この視点を欠いた文化庁批判は逆効果をもたらすだけと言えるのではないでしょうか。