大川小の津波避難訴訟: 最高裁が “哀れな遺族” に配慮した「原告勝訴」の判決を確定させ、後出しによる言いがかりで教育現場環境を悪化させる

 東日本大震災で児童や教員が津波に巻き込まれて亡くなった大川小学校(宮城県石巻市)の児童23名の遺族が起こしていた裁判で最高裁が原告勝訴の判決を下したと NHK が伝えています。

 仙台高裁の判決が確定したため、原告側は大満足でしょう。しかし、後出しによる言いがかりで賠償を確定させたため、教育現場がさらに疲弊することは目に見えています。

 そのため、“新たな悲劇の種” が大川小の遺族らによって蒔かれたことは否定できないと言えるでしょう。

 

 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市の大川小学校の児童23人の遺族が訴えた裁判で、最高裁判所は石巻市と宮城県の上告を退ける決定をし、14億円余りの賠償を命じた判決が確定しました。

 最高裁は、震災前の学校と行政の防災対策に過失があったと認めた判断を維持し、今後、全国の教育現場の防災対策に影響を与えるとみられます。

 

最高裁が “後出しで” 確定させた仙台高裁の判決

 最高裁の山口厚裁判長ら5人の裁判官が確定させた『仙台高裁が下した大川小・津波訴訟の判決』は「司法の言いがかり」と言わざるを得ない内容です。

  • 教員らはハザードマップの信頼性を独自に検討すべきだった
    • “防災の素人” である教員が検討するの?
    • 教員は「ブラック勤務」が問題視されているのに?
    • 予算は?
  • 『宮城県沖地震』の揺れや津波で、北上川堤防は沈下・破損の危険性があった
  • 「高台」を避難場所に設定していれば、すぐに避難可能で津波を回避できた
    • 堤防の沈下や破損は危惧するのに、高台の地崩れは危惧しない理由は?
    • 避難経路や避難先の「安全」は誰が確認し、保証するの?
  • 教師は地域住民よりもはるかに高い知識と経験が求められる
    • 教員免許にそのような要件は存在しない
    • 要求に対する対価(= 報酬)は支払えるの?

 最初から「哀れな遺族に寄り添う司法判決を出すこと」は決まっていたのでしょう。だから、“結果論に基づく後出し” で無理筋な判決文を書いた仙台高裁の判決を追認したと考えられるからです。

 「ハザードマップの想定を超える津波が来る」と考えることを要求するなら、「安全なはずの高台(や裏山)で土砂崩れが起きる」とも考えなければなりません。「津波は来るが、土砂崩れはない」は “都合の良い選択” に過ぎず、結果論で繰り出すことは論外です。

 しかし、最高裁がご都合主義のロジックを容認してしまっているのですから、司法が日常生活に多大な負担を強いる元凶になっていると言わざるを得ないでしょう。

 

『避難指定場所』以外に誘導した行政職員は誰からも守られない

 行政が指定した『避難場所』とは異なる場所に行政機構に属する職員が誘導することは問題です。なぜなら、現場の職員が規則を破ることを正当化する根拠になってしまうからです。

 定められたプロセスを無視して良いなら、“公平な行政サービス” という根本部分が揺らぐことになるからです。

 したがって、大川小の件でも教員が「校庭に留まる」との判断を下したことは責められないのです。裏山や高台への避難を起こしていた際に何らかの二次災害に巻き込まれた場合、司法は「避難させた教員を “後出し” で糾弾」していたことでしょう。

 専門家が作成したハザードマップを否定するのです。「想定外」との弁明は司法で通用する見込みはゼロ同然であり、『弱者認定』されるような “哀れな立場” の原告に最大限配慮した賠償命令が今後も乱発されることになるでしょう。

 

「余震で(避難所に指定されていた)小中学校の体育館が倒壊して犠牲者が出る」というケースでも学校側の責任にされるだろう

 最高裁が大川小の津波避難訴訟で下した判決が尾を引くことになると考えられる理由は「学校側が責任を負わされる事態を回避する強い理由になる」という点です。

 ハザードマップで「危険」とされる区域であるにも関わらず、避難経路が設定されていなかったり、教員が避難の手順を認識していなかったのなら批判は真っ当なものです。しかし、大川小のケースはこれには該当しません。

 「学校管理下で犠牲者が発生した問題を想定外とは言わせない」との姿勢の司法から “後出しで” 断罪されたのです。だったら、学校や民間企業は「自らの管理下ではない」との姿勢を鮮明にするでしょう。

 具体的には「大津波警報の発令と同時に休校とし、生徒を(問答無用で)下校させる」という方針を徹底するはずです。保護者不在などの理由に配慮することはないでしょう。なぜなら、億単位の賠償命令を司法から下されるリスクを抱え込むことになるからです。

 方針に反対する声が保護者から起きても、「最高裁が求める “高い知識と経験を持った教員” を十分に用意できない」や「避難経路などの想定が完了していない」と学校側は拒否権の根拠を複数持つことにもなりました。

 「子供を迎えに行くまでの間、学校で待たせおいて欲しい」との保護者からの要望も「賠償命令が発生するリスク」を理由に拒否される恐れがある訳ですから、最高裁が確定させた大川小の津波避難訴訟の判決は後に尾を引くことになる可能性は十分にあると言えるのではないでしょうか。