「閉店セールが盛況のため、閉店の手続きを凍結する」と同じロジックを使い、韓国が『GSOMIA 破棄』を条件付きで撤回

 NHK によりますと、韓国大統領府が失効の期限が迫っていた日本と韓国の軍事情報包括保護協定(= GSOMIA)の終了通告を停止すると発表したとのことです。

 韓国は決定に対する理由を説明していますが、実態は「(韓国側の)単なる時間稼ぎ」です。

 成果を得たかのような説明を韓国の国内向けにしているものの、一人相撲であることに変わりありません。また、GSOMIA と日本の輸出管理強化を意図的に絡めており、日本のメディアをミスリードさせる狙いも相変わらずと言わざるを得ないでしょう。

 

 韓国大統領府のキム・ユグン(金有根)国家安保室第1次長は、22日午後、記者会見を開き、日韓の軍事情報包括保護協定=GSOMIAについて「いつでも効力を終了させることができるという前提で、ことし8月23日の終了通告を停止させることにした。日本政府はこれについて理解を示した」と述べ、日本政府に協定を終了するとした通告を停止すると発表しました。

 (中略)

 今回の韓国側の決断は、あくまでも暫定的なもので、「相当の期間続くことは許容できない」としています。

 また「現在の状況の根本的な原因は日本側にある。両国の関係は、相変わらず厳しい」と述べ、韓国側は原則的立場を変えるつもりはなく、あくまでも日本側の歩み寄りが必要だという立場を重ねて示しました。

 

「GSOMIA」と「日本の輸出管理強化」を意図的に混同した主張を続ける韓国政府

 日本は「兵器に転用可能な戦略物質の行方についての問い合わせに応じない韓国への輸出管理を強化」しました。問い合わせに3年も応じなかったのですから、この対応は妥当と言えるでしょう。

 この日本政府の対応に対し、韓国政府は反発。ところが、問い合わせに対する回答を突きつけるのではなく、『GSOMIA 破棄』を通告することで『輸出管理強化の撤回』を迫るという “誤った対応” をしてしまいました。

 なぜなら、GSOMIA を最も必要としているのはアメリカであり、日本ではありません。日本は「韓国が海洋勢力側であることを示すために GSOMIA は重要」というものであり、GSOMIA がなくても困らない立場だからです。

 しかし、韓国は「日米が重要と言っているから、破棄をチラつかせれば譲歩(= 輸出管理強化の撤回)を得られる」と間違った認識で突っ走ったことで自滅する結果となったのです。韓国に同情する必要は皆無と言えるでしょう。

 

ムン・ジェイン政権が決定を先送りにしただけ

 韓国政府の太鼓持ちはムン・ジェイン大統領の決定を高く評価していますが、実態は「先送り(= 時間稼ぎ)」です。

  • GSOMIA
    • 日韓両国間での軍事情報の取り扱いを定めた協定
    • 一方国から破棄の通告がなければ、1年間自動で延長される
    • 韓国は「破棄通告を停止」と発表
  • 日本の輸出管理強化
    • 兵器転用が可能な物質の管理に対する問い合わせを韓国が無視し続けたため、日本が輸出管理を強化
    • 韓国が WTO に提訴
    • 「日本が局長級の対話再開」を認めたことで、韓国は WTO 提訴を停止

 日本は「輸出管理強化を緩和するには “韓国の対応” が必要不可欠」との対応に終始しています。経産省が「管理状態について韓国との局長級会談を再開する」ことは適切ですし、輸出品の管理状態が不十分なら、日本からの輸出基準は現状が維持されるべきです。

 無条件で韓国を『ホワイト国』に戻す理由はありませんし、GSOMIA を『外交カード』として韓国に与える必要は微塵もないのです。韓国政府の “時間稼ぎ” に日本が協力する意味はないですし、韓国を甘やかしたことで日本が国益を得たケースがないことも覚えておかなければならないでしょう。

 

韓国は「まだ何もしていない」という現実を見落としてはならない

 「韓国は “大人の対応” をしたのだから、日本も譲歩すべき」との主張がメディアで取り上げられることが予想されます。しかし、この意見に同調することは問題です。

 なぜなら、韓国が勝手に腕を振り上げて、自分で下ろしただけだからです。

 日本が “当初から求めている内容” を韓国は今現在で何も満たしていませんし、この状況で日本が譲歩を選択すると利益を得たのは韓国だけになるからです。

 「『GSOMIA 破棄』は『外交カード』として機能する」と間違った学習を韓国にさせるべきではありません。また、来春に韓国では選挙を控えているため、ムン・ジェイン政権への逆風が吹いたままだと年末ごろから再びゴネ出すことでしょう。

 求められた対応をしてない韓国からの要望に聞く耳を持つ必要がないことは明らかです。一方で韓国政府の発表を何の疑いもなく報じる日本のマスコミは間違った世論の形成に多大な貢献をするため、誤報に対して目を光らせる必要があります。

 「日本側にもメンツがあること」を無視して傍若無人な対応を続ける韓国政府やその宣伝機関として活動するマスコミを甘やかす対応は終わりにする必要があると言えるのではないでしょうか。