中日新聞が1億円超の所得隠し、指摘内容は2016年に名古屋国税局からの指摘と同じという杜撰な企業体質を示す

 読売新聞などによりますと、中日新聞社が名古屋国税局から1億円を超える所得隠しを指摘されたとのことです。

 重加算税を含む追徴課税が科されたのですから、手口は悪質と言わざるを得ないでしょう。しかも、中日新聞は2016年にも同様の理由で所得隠しが指摘されているのです。

 このような企業が軽減税率の対象になっていることはおかしいことですし、他者の金銭問題を追求する資格はないと言えるでしょう。

 

 中日新聞社(名古屋市中区)が名古屋国税局の税務調査を受け、今年3月までの4年間で約1億700万円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。経理ミスなどを合わせた申告漏れの総額は約1億4300万円で、重加算税と過少申告加算税を含む追徴税額は約7200万円。同社は既に修正申告したという。

 同社によると、同社は首都圏での新聞の販売促進業務をセールス業者に委託しているが、実際は販促業務をしていないことを知りながら、セールス業者に費用を支払い、経費として計上していた。また、同社の記者が飲食代の経費請求書に虚偽の取材先を記したり、人数を水増ししたりしていたという。

 (中略)

 同社経営企画室の武藤正敏室次長は「一部に見解の相違はあったが、指摘を真摯しんしに受け止め、適正な経理処理、税務申告に努めます」としている。

 

姑息な脱税行為に手を染め続けている中日新聞

 中日新聞が申告漏れを指摘された内容は「販促業務をしていない業者への支払いや虚偽内容の飲食代を経費としていたこと」です。どちらも悪質度の高いものとして批判されるべきものでしょう。

 前者は会社ぐるみの問題です。首都圏での問題ですから、これは中日新聞の参加にある東京新聞で起きたことでしょう。つまり、東京新聞の販売促進業務をしていないことを知った上で業者に費用を支払い、それを経費として計上していたということです。

 東京新聞は菅官房長官の記者会見で悪目立ちしている望月記者の所属先企業です。持ち前の取材力を発揮して、中日新聞が抱えている問題点を批判・追求する責務があると言わざるを得ません。

 一方で後者は「社員の倫理観」が問題視されます。記者が本当に取材源を秘匿したいなら、自らのポケットマネーでやるべきです。『記者手当』という形で “軍資金” を手渡すことは可能ですから、経費の運用方法にも問題があるのです。

 ただ。今回発覚した問題ではありません。そのため、企業体質そのものに問題を抱えていると言えるでしょう。

 

中日新聞は2016年にも「所得隠し」を指摘されている

 なぜなら、中日新聞は2016年にも名古屋国税局から「所得隠し」を指摘されており、朝日新聞は次のように報じています。

画像:中日新聞の所得隠しを報じる朝日新聞の記事

 同社が発行する東京新聞や中日新聞の記者らが同僚と飲食したにもかかわらず、取材費として計上したほか、取材源を隠すため、実際に飲食した人と異なる人を飲食者としていたケースもあった。国税局はいずれも経費として認めなかったという。

 中日新聞経理部は取材に対し、「一部見解の相違があったが、修正申告をした。今後、適正な申告に努めたい」とコメントした。

 当時は「記者が同僚との食事を取材費(= 経費)として計上」した他、「取材源を隠す目的で虚偽内容の飲食費を計上」などが国税局から所得隠しと指摘されていました。

 つまり、2016年の時点で中国新聞は「虚偽内容の飲食費は経費として計上されない」と指摘され、社として「今後は適正な申告に努める」と約束していたのです。しかし、それができずに2019年も同じ問題が国税から指摘される結果となりました。

 これでは学習能力がないことを意味してしまいますし、社員に対して問題点を是正するための倫理研修による成果も得られなかったと言わざるを得ないでしょう。

 

 同じ理由による「申告漏れ」が指摘されるのは異様です。おそらく、中国新聞で今回発覚した問題は氷山の一角となるでしょう。なぜなら、厳罰を下された記者の存在が社内で周知されなければ、不正を思い止まる動機にはならないからです。

 経理部門から不備を指摘されても、記者は「取材源の秘匿」という “葵の御紋” で社内からの声を押し切っていたのだと思われます。

 稼ぎ頭である部門に所属する社員に強く物申すことができるバックオフィス部門は存在しないため、不正を社内で食い止められずに(外部の)国税に指摘されるという失態が続いているのでしょう。

 自浄作用が働かない企業には、外部から「軽減税率の停止」など厳しい処分を科す意義があると言えるのではないでしょうか。